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夢の中の香りの話

その日、夢の中で香水をもらった。

それをくれた人は少し前に亡くなってしまった年下の男の子だった。
といっても一方的に知っているだけでその人に対して特に思い入れはなかったのだけど、夢に出てくるということは自分の中で何か思うところがあったのだろう。

その人が「○○(私)のイメージで選んだ」と手渡してくれたのは、ミニボトルに入ったOSAJIの香水だった。
OSAJIというブランドの存在は知っていたけれど、実際に商品を使ったことは無かったし、香水があるのかも知らなかった。

普段から、起きてすぐに覚えている夢はメモしたりしているけど、この日は目が覚めてOSAJIという名前がやけに頭に残っていたので、公式サイトを見てみた。

香水、ほんとにあるんだ。

私はあまり強い香りが得意ではないので(電車や職場で香水の香りが強い人がいると気分が悪くなるし、実家に帰ると洗濯ものが柔軟剤の人工的な香りに染まるのが嫌で洗濯ものは極力自分で洗うようにしていたりする)、積極的に香水をつける習慣が無いんだけど、どんな香りなのか気になって仕事帰りに店舗に寄ってみることにした。

OSAJIのフレグランスラインナップは、しっかりめに香りが持続するオードパルファムと、軽めに使えるオードトワレがあるとのこと。

いくつか香りを試させてもらった中で気に入ったのはウッド系の3種類。

●Kuromoji 黒文字 
つけたてのフレッシュなレモンの香りがだんだん落ち着いた木の香りになっていく。香りの変化が一番感じられるさわやかな香り。

●Hiba 檜葉 
雨に濡れた森の木の香り。ヒノキ風呂や大工さんが木を削っているとき(幼馴染のお父さんが大工さんだった)、新築の家を思い出すような、リフレッシュできる香り。

●Jinkou 沈香 
うす暗い深い森の奥にひっそり佇む寺院のような香り。時間が経つにつれて甘く優しい落ち着いた香りに変化。

●イラストレーターSHOGO SEKINEさんコラボ
限定品として出ていたこちらはかなりさっぱりとした香りでつけやすそうだったけど、ユニセックス過ぎて香水らしい複雑さがあまり感じられずパス。

どれも情景が浮かぶようなそれぞれに良い香りで、迷いに迷った末に直感的にこれだ!と思った「沈香」に決めた。
スタッフさんも私の雰囲気にすごく合っていると勧めてくれたもの。

残念ながらミニボトルは在庫が無いとのことで(今後生産の予定もないらしい…)、思い切ってレギュラーボトルを購入した。
ここの店舗では沈香はラスイチだった!
「呼ばれましたね!」とスタッフさんと笑いあった。

もらったムエットをクンクンしながら(怪しい)、うきうきして帰宅し、夜寝るときに枕元にシュッと一吹きしてみたら、心地よい気持ちで眠りにつけた。
明日の朝身体につけてみて、一日の香りの変化を味わうのを楽しみにしながら。

夢が、私をここまで行動させてくれた不思議な日だった。

香水生活にはまだ慣れていないけど、他の香りも試してみたいし、これから少しずつ「自分の香り」をみつけていけたらなと思う。

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