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宇野亞喜良展の話

情報が解禁されてから「これは絶対行かねば!」と開催を心待ちにしていた宇野亞喜良さんの大規模展へ行ってきた!!

初台駅を降りた瞬間から高まる~!

宇野亞喜良さんの絵は、十代の頃から大好き。
新聞の連載の挿絵を切り取ってノートにスクラップしていたり(今回その原画も展示されていて、そこで思い出した)、数年前にやっていた個展でご本人にお会いしてサインもいただいた。

子どもの頃は独特な世界観を少し怖いとも思っていたけれど、今改めて見るとやっぱり、胸がキューっとなるくらい妖しくて美しくて素敵。不思議な魅力がある絵なんだよな~。

御年90歳で現役!ということで今回の展示はさすがの作品数、圧巻。
略歴年表の長いこと!

実家が喫茶店で10代の頃から絵や人形を作って店に飾っていたとか。
まず冒頭の展示、16歳の時に描いたという自画像の時点で完成度がすごい。既に商業デザイン的な作品もあったり。
地元の新聞に「なんでもアッパレの少年芸術家」と紹介されたほどだとか。

大きな絵画どーん!とかじゃなくて小さなものも多いので、一つ一つじっくり見てると前に進めない〜でも近くで見た〜い〜という葛藤。
やっぱり「絵画作品」ではなく「イラストデザイン」の「原画」なんだよな。そこがすごいし、そこが好き。

カルピスに入社して、デザインやイラストだけじゃなく、キャッチコピーも考えてたとか、ほんとに有り余る才能を持っていたんだなと。昔のチケットやパンフレット、タバコの箱なんかのデザインも、洗練されていてとても素敵だった。


馬が上手く描けるのは画力のバロメーターだと思っている(持論)


雑誌の表紙、オシャレすぎない?!

洋風も和風もグラフィカルなものも、求められるものを的確に捉えて、尚且つ個性もあって…やっぱりこれがイラストレーターという職業なんだなと頷いた。
他にも企業グッズのカレンダーやすごろく…欲しすぎる…

す、すごろく…!
例の新聞の連載の原画!
ユリイカの表紙絵はかなり長いこと担当されていた

これぞ宇野亞喜良!という感じの動物や植物と女の子がドッキングしてるキメラ的なやつもたくさん。
アニメーションを流してるコーナーもあって、絵がだんだん変化してくの、ずーっと見てられた。

●絵本
何冊か持ってるんだけど(お気に入りは「もりでうまれたおんなのこ」と「おおきなひとみ」)
子ども向けは子ども向けで、ちゃんと雰囲気を残しながらメルヘンチックに仕上げてるとこが素晴らしい。

●ポスター

天井までずらぁぁっと貼られた、圧倒される量!
アングラ臭ムンムン。当時のチケット代安っ!意外にも企業のポスターもあったりして、このお耽美な世界観でオッケー出たのか、最高な時代だな…!って思った、自由なようでいて窮屈な現代に生きる私たちよ。

ブラックライトで光るやつは好きすぎてクラクラ眩暈がしたわい。



●舞台芸術

舞台衣装や小道具、10代のころから人形劇団(!)を作ってデザイン、制作をしていたらしいから、やっぱりこういうのが得意なんだろうね。
アイディアの塊。

そしてお人形…たーまらーーん!!

遠くからでも一目でわかる寺山修司人形に大興奮w
餃子姫って…さいこうじゃんか。


図録も購入して家で読み返していたけど、やっぱり印刷されたものじゃなくて実際に間近で見る原画のパワーは比べ物にならなかったな。
アートに詳しくない夫でも、買って来た図録を見ながら「この絵見たことあるね」と言うぐらい、人々の生活のなかに染み込んでいる宇野作品。
こんな素晴らしい人の作品に触れられる時代に生きられて、なぜかこちらまで誇らしい気持ちになった。

表紙のベタプリントが一つ一つ違う!ゴージャスな図録。指紋がつくのが嫌で帰ってからすぐカバー掛けた(神経質なオタ)

「前衛ではなく、日常でありたい」

「自分の生きている時代の描き方」

「ファッション誌を見てかっこいい女性像を考えるより、地下鉄で前に座っている女性のかっこよさを表現したい」

ずっと最先端で活躍し続けている人のパワーを感じられる、素晴らしい展示だった!!


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