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2年ぶりに帰省した話

丸2年振りに実家に帰った。

友人諸々会いたい人はたくさんいるけど、こんなご時世だから誰にも帰省することは知らせず、家族以外には誰も会っていない。

東京から新幹線と電車を乗り継いで3時間半。言葉にするとそう遠いわけでもないが特に見どころのない流れる景色をぼーっと眺めているのは結構苦痛で、体感では半日ぐらい移動しているような感覚。学生時代なんとも思わず通っていた実家からの通学電車の道中のトンネルの多さ。いったいどんだけ山越えるんや…そうだった、私はこんな遠い山から都会に降りてきたんだった。

電車が各駅に停車するたびに、この帰省で初めて私の故郷へ一緒に帰った夫(東京生まれ東京育ち)に「ここの駅には何があるの?」と逐一聞かれたが「え、なんもないよ」としか答えようがない。あっても紹介できるのはでかいイオンぐらい。全ての駅に観光名所や名産品があるわけではないのだよ。

久しぶりに降り立った地元の駅は日曜の真っ昼間だというのにやはり人はまばらで東京とは全く違う景色と時間が流れていた。
見慣れていた駅前の商店街の建物は、こんなに昭和みたいな風貌だったっけ?記憶の片隅にあった店は潰れていた。代わりに新しくできた知らない店。近所の家は跡形も無く更地になっている。思い出と変わってしまった景色、たまに連絡を取る地元の友人にそれとなく聞いてはいたけど。
めちゃくちゃ天気が良いのもなんだかノスタルジーを加速させて、なんとも言えない気持ちになった。


両親に会うのは半年ぶり。
父親はまばらだった白髪が増えてもはや黒髪のほうが少なくなった。母親は顔の皺の深さが増して皮膚がカサカサしてきた。
ほぼ育ての親と言ってもいい、2年ぶりに会った祖母は、私の記憶の中よりもだいぶ小さくなり髪が薄くなっていた。いつもきれいに白髪染めをしてヘアセットをしていたのに。歳の割に艶と張りのある肌には濃いシミが増えてくすみが目立つ。数年前はよく国内旅行に出かけていたけど、足が痛いからもうほとんど外出もしないし、家事も嫁(私の母)にほとんどやってもらっているとのこと。
そして相変わらず人の話を聞かずによく喋るのだが、話の内容が噛み合わないことが多々あり、最近では外の景色にキラキラしたお札や旗、たくさんの人影が見えると言い張って、家から見える山に向かって毎日手を振って拝んでいるらしい。
もう高齢なので軽い認知症が出てくるのは仕方がないんだけど、無信仰だった祖母がそんなことを言い出したので少し衝撃を受けた。
母にはもちろんそんなものは見えないので、毎日その話を聞かされて非常に困っているという。苦痛だろう、そう思う。

人も場所も、2年でこんなにも老いて変わっていくのか、と切なくなった。

ただ私の部屋は2年前から時が止まっていてクローゼットの中は相変わらず乱雑なまま何も変わっていなかった。
実家に帰ったら東京に持ち帰ろうと思っていたものがいくつかあったけど、膨大な量の荷物の山のどこにあるのか探し出せなかった。
唯一救出できたのが、この赤ちゃんたち。近ごろまたよく見かけるシルバニアファミリーの動物たちだ。この愛くるしい姿を眺めていると、己の中の邪念がすぅ〜っと空に消えていくような気がする(気のせい)。
結局、何が言いたいのかと言うと、
シルバニアファミリーは変わらずかわいいって話、かよ。

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