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見つけた見つけられた

紅白帽がなくなった話をゆかりさんにしたら、わたしが違うもっとわかりやすい場所に置いたんだよ、と言っていた。見つけられたと思ったのは間違いだった。
しかし朝、ゆかりさんゆきさんと外に出ると、紅白帽はなくなっていた。ゆかりさんが「ほらーやっぱり誰かが見つけたんだよ」と自慢げな表情を浮かべていた。
今日はゆきさんの機嫌が悪く、僕から逃げるようにゆかりさんを連れて走って保育園へ向かっていた。
ちらりちらりと振り返りながら走るゆきさんの背中を見る。どれだけ走っても僕はゆきさんを見つけられる。
僕は今どこにいるだろうか。そんなことを考えてしまう。街の中にまぎれている僕を見つける人はいるのだろうか。
最近は趣味である街で聞こえた声をつぶやくだけのアカウントをまた頻繁につぶやいている。
会話の一部だけを書くと想像が膨らむ。何を話していたのかはわからない。ただ声がぽかんと浮くと急にたくさんの意味を含むような言葉に変わる。それが見返して楽しいのかもしれない。
すれ違う誰かわからない人の言葉に意味を作る。僕にも意味が生まれてほしい。
夕暮宇宙船「小さき者たちへ」を読んだ。「虎に翼」の今週分を見た。どうしようもない行き場のない感情をどうしたら良いのだろう。自分の想像を超えてしまって考えることが難しくなってしまう。でもやる。でも考える。絶対に嫌なんだよ。
自分が穏やかに暮らしていきたいように、みんな穏やかに暮らしていきたいんだよな。
幼馴染が文学フリマで売っていた本を通販で買ってくれた。作ることはきっとやめないだろう。

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