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見つけ見つけられ見つからない

紅白帽はなくなっていた。きっと持ち主が見つけたのだろう。ようやく見つけてもらえた。紅白帽は喜んでいるだろう。見つけられたい。僕も誰かに見つけられたい。
毎日文学フリマで売った本をどうしようかと考えている。調子に乗って刷りすぎてしまった。見つけられたいという気持ちが乗ってしまったのだろう。
どうしようか、とZINEのイベントを消極的に探している。本屋に置いてもらえたらという気持ちはあるが、少しだけ怖い。トラウマと、僕なんて誰にも知られていないというネガティブが体から離れてくれないでいる。
僕は何者でもないし、何者かになりたかったが、何者にはなれなかった。しかしゆきさんにとっての何者かになれた。ゆきさんがいるから生きられる。ゆかりさんがいるから動けている。
二人以外の誰かの何者にならなくてもいいはずなのに、求めてしまう。雨の日に晴れを思うように、夏に冬を願うように僕はいつだって欲張りでどうしようもない。
いつだって中途半端で決心がつかないまま生きてしまっている。本が残っているなら委託とかやれることはたくさんあるのに、能動的になれず受身。おじさんの受け身なんて誰が見たいのだろう。誰も見たくないからみられていない。見つけてもらえない。紅白帽は名前が書かれて主張をしていたから見つけられたのだ。

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