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なまいきな主人公の物語

って、たくさんあるよね。
才能にあふれていて、美しくて、特に努力をしなくてもあらかじめすべての人に好意を持たれる特性の持ち主を使って書き手が自分のエゴを満たす物語。
主人公に魅了されないと誰も読まないんだから仕方のないことではある。
逆に言うと、
「チートなキャラ使ってしょうもねえ話書いてんじゃねえよ」
と思わせてしまうのはつまり、ストーリーにまったく魅力がないということだ。

「葬送のフリーレン」が始まった時、結局そういう作品なのかなと思っていた。
でも少し違ってた。
面白い手法で語ってる。
この数年は転生転生って、バカの一つ覚えみたいに転生だらけでうんざりしていたが、そうじゃなくてもちゃんと「新しい主人公」「新しい道」を描くことはできる。
あたりまえなんだけどね。転生ゴミ妄想多すぎなんだよ。
安易に転生やってる作家は少し反省してもらいたい。
あんたら全然おもしろくないから。
マシンガン使ってハエ打ち落とすみたいなことやって、しかもハエ逃げてる。あたりじゅうハエだらけ。

この作品はおそらく、アニメ化することでより魅力が増したのではないだろうか。
原作読んでみたけどあんまり動きのない絵柄だった。
ちょっと前に大人気だった某アニメも「マンガでは何やってるのかよくわからなかったアクションシーンがやっと理解できた」と評されていたっけ。

始まってすぐは「ロードオブザリング」を彷彿とさせる風景が続く。
表層だけではない、日常の厚みもあって、軽はずみな発想ではない下地を感じさせる。最近、軽はずみしか見えない作品が多くてね。。。
キャラクターはハイターがいいなーと思った。
長身イケメンのメガネキャラで、情緒が落ち着いていて大人の余裕を感じさせる。
そんで終始、失った友への執着や青春のリグレットがチラ見えするのだからもうたまらないでしょう。
自称イケメンで実際にイケメンのヒンメルはわかりやすくロマンチック。
アイゼンは口数が少ないタイプだけどお花畑でくるくる回っていたのを見ると、ただそれだけでもない奥深さ。
そして主人公のフリーレンはとにかくすごい魔法使いで天才っていう位置づけなのでそうなのでしょう。
種族はエルフ。テンション低いところがいい。
この不景気、甲高い早口でまくしたて、大声で叫ぶ主人公は暑苦しい。
演技も省エネでいきましょう。

この作品の魅力は「エルフ」「天才」「伝説の」「あの」「勇者パーティー」などが登場しても「あんまり鼻につかない」ってとこだと思う。
「あーハイハイ、もういいお腹いっぱい」って言いたくなるトゥーマッチがあんまりない。

少なくとも今のところは。
いつまでもそうであることを願います。
今期のベストアニメはこれで決まり。
2シーズン連続だったよね。じゃあ来期もベストか。

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