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放課のサッカー

 元々は高校の同級生で作った社会人サッカーチームを、先日の日曜日に行った練習試合を最後に活動停止しました。32年続きました。

 地元の社会人リーグでずっと続けてきたのですが、平均年齢50歳越えで20代の若者相手に勝てる訳もなく大敗が続いたのが止めるきっかけでした。

 これまでも何度か活動停止になりそうになりました。最初は就職の時期です。メンバーが足りなくなり、色んな人に声掛けして続きました。次は結婚や出産などの時期です。家庭に必要とされて来られない。この時も何とか乗り越え、ついに自分たちの年齢には勝てなく終わりを迎えました。

 ほとんどのメンバーは、違うチームでシニアリーグで活動しているのでサッカーから離れるわけではありません。ただ、このチームではもう公式戦をすることは無いだけです。

 活動停止することはリーグ戦の途中でメンバーの意思確認もして決まっていました。リーグ戦を終えて、活動停止する。……そのはずでした。

 コロナウィルス対応で、リーグ戦は途中のまま終了してしまいました。

 チームとして最後の試合は、予期せぬまま無くなってしまったのです。

 あっけなさすぎる幕切れなので何とか機会は無いかと考えていたら、ありました。これもコロナウィルス対応で、普段なら絶対に取れない人工芝のグラウンドが日曜日の夕方に空いていたのです。2時間取れました。
 すぐに予約して、チームのメンバーに声掛けしました。今はサッカーから離れてしまっている元メンバーにもです。
 芝のグラウンドの効果なのか、参加希望がたくさんありました。練習試合にしたかったので、シニアリーグで一緒にやっている人達にも来てもらいました。

 ついにその日が来ました。芝のグラウンドでそれぞれアップしているみんなはすごく楽しそうでした。
 2チームに分かれ、1試合20分の交代自由で行いました。めちゃめちゃ楽しいんです、サッカーが。
 試合に出ている人もベンチで待っている人も、審判をしている人もみんな楽しそうなんです。

 時間が来て、全員で集まって、終わりました。

 なんとなく高揚の余韻が残っていて、なんであんなに楽しかったのか今一つわからないまま自宅に戻りました。
 次男も同じ場所で先日サッカーをしていたので、話をしました。次男は部活でもサッカーをしていましたが、もう引退しています。

「今日のサッカーめっちゃ楽しかったわー。」
「あ、今日って解散試合だっけ?」
「うん。練習試合だけど。」
「公式戦じゃないと、放課のサッカーみたいで楽しいよね。」

 次男のこの一言で、どうして今日のサッカーが楽しかったのかが、ようやくわかりました。
 そして、活動停止したこのチームは昼放課のサッカーが楽しくて、そのメンバーで作ったチームだったことも。

 最後が放課のサッカーと同じだったと気がつき、うちのチームにふさわしい終わり方だったと今さらながら感謝しています。
 今回参加してくれたメンバーも、サッカーの楽しさを再発見したみたいで喜んでいました。

 終わりだけど、始まったのかもしれません。

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