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三浦半島で自然と対話しながら農業する方たちの言葉

こんにちは、入社して2ヶ月と少しのたえです。先週末、1999年より有機農業を営んでいる久松農園の代表久松達央さんの呼びかけにより、茅ヶ崎で行われる野菜の朝市や、農家さんを巡る会に参加させていただきました。

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経緯
fogのカレンダーを眺めていると「農家訪問合宿」の文字。誰とどこの農家に行くのかも分からなかったけれど、大山が行くならば絶対勉強になるに違いない、しかも合宿だなんて絶対密度が濃い時間だろうと思い「あの~カレンダーにあったこれ、可能なら参加したいのですが」とずうずうしく唐突に打診、参加させていただけることになりました。
(久松さん、たかこさんありがとうございます!)

 農家訪問にもかかわらず参加メンバーは久松さん以外農家関係者ではないという不思議な構成。ですが皆、食や環境・農業について学術方面から学んでいたり環境社会学分野の研究者だったりと、農業には緩やかに関係があり、終始ハイレベルな議論が行われた時間となりました。(私はついていくのに必死でした...!)本日は、今回伺ったお話の中でも特に環境という文脈からの学びの一部について記していきます。おそらく今回の合宿内での情報のほんの数パーセントです。

人の生産活動と自然の関係

複数訪問した農家さんのうちの一つ、長島農園さん。代表の長島さんのお話は、今よく言われている「再生/リジェネレーティブ」という言葉が表面的に使われているのとはと比べ物にならない程、当たり前として実践されていることに基づいていました。

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 一貫していたのはとにかく土着の生態系に基づいて栽培するということ。例えば、出来るだけその畑に元からある菌相を変えたくないと取り組む緑肥。放っておくと結局元からの雑草にもどっていくことが分かり、今はその雑草で行っているそうです。

 堆肥も撒いていますが、地力を強くするために施肥量そのものを減らしています。施肥する堆肥はおじいさんの代が乳業をやっているため、そこから牛糞をもらって牛糞堆肥。発酵期間は2週間ほどでけっこう生に近い状態らしいのですが、畑の微生物を増やすために生っぽいものを使うそうです。

正直、農業無知な私はこんなにも畑って繊細なものなのかと驚きました。畑に生えている雑草だってただの雑草、抜けばいいのだと思っていた。でも全部存在していることにはその土地における理由があって、それを試行錯誤を通じて理解していく農家さんたちは自然と私たちの生活の間にいる重要な存在であると思いました。

 長島さんは「人が生産活動をすることによって成り立つ自然がある」という話も、畑の前に広がる山を目の前に説明。以前はその山は森ではなく茅葺屋根に使われる茅葺を乾燥させるための「茅場」であったそうです。「昔はこれは山ではなかった。人の手が入らなくなってから森となり、今は極相に行く過程」と。必ずしも森があれば自然が豊かという訳ではない。人が入っていたことによって維持されていた生物多様性こそ、日本の自然との共生の仕方でした。

毎年感じる気候変動、「このままだと対応できない」

 長島さんは近隣の農家さんと鳥や蝉の初鳴き時期を共有して、その情報を栽培にも反映しています。場所場所での小さな気候の変化をアップデートできるかどうかが重要らしいのですが、常に自然を観察している長島さんが「このままだと毎年変わっていく気候に対応できない。農業もとい日本に住めなくなると思う。」と。大量生産消費、資本主義第一で進んで行く人たちが見ている世界と、自然の現場第一線で暮らしている人たちが見ているであろう世界・感じている危機感には大きな乖離があります。以前fog大山が、新潟県西蒲原地区にて現地に住む方々と「にしかんローカルマニュフェスト」というものを作りました。この地域は豊かな自然や文化があり農業が盛んな一方で、2050年には温暖化による海面上昇で沈没の可能性があるとされる所でもあります。この事実と向き合って自分たちはどうこれから生きていくべきかということを言語化し、マニュフェストとしてまとめたものがにしかんローカルマニュフェストです。私たちは、微細な変化に気づいている人たちの言葉に耳を傾け、その事実に対峙していかなければいけません。

だからfogは農家と繋がる

 だからfogは、農家に行きます。一緒に作業をさせてもらって土に触って、自然と向き合いながら自分達が安心できる食べ物を作っている人たちの話を聞かせてもらいます。自然も人も「ここちよく」生きるために、自分達の現在地を知る必要があるからです。

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 今回、たくさんあった学びの中で改めてこの大切さと現状を思い知らされました。思った以上に変化は身近に起きていて、その中で自然もここちよくいられるように食べ物を作っている方たちがいました。fogはこんな方たちの在り方を大切に捉えて、事業に活かしていきます。

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他にもまだまだ、色んな経験やお話がありました。追ってご紹介してまいります。

ありがとうございました。


大垣多恵 (おおがき たえ):1994年生まれ 埼玉県出身。
環境に興味があり、大学院までプラスチックによる海洋汚染の研究を行い、学生や一般向けに啓発活動を行う。2019年卒、一般企業の環境事業に1年間携わる。働きながら、持続可能な経済活動を考えるうちによりローカルな循環経済に興味を持ち、2020年から循環や再生をテーマに掲げる株式会社fog に所属。その他では池袋要町にあるイタリアン”fra..”、代々木公園近くの量り売りショップ”nue by totoya”でも働く。コミュニティづくりやイベントの企画運営をはじまり商店街にて修行中。ばらばらに見えてじつは繋がっている。見聞広め中。

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