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世はまさに大“純愛”時代〜失われた負けヒロインを求めて〜

深夜アニメといえばハーレム、なんてのは今は昔の話。
令和の流行りは純愛です。

ここでいう純愛とは男女双方向に好意があることが明示されており、それを作中で妨害するような者もいない作品のことを指します。
とりわけ流行りは女性側が好意を匂わせてくる作品が強いです。「○○さん系作品」と言ってもいいかもしれません。

流行りのきっかけは「からかい上手の高木さん」でしょう。
今ではツイッターのおすすめタブに流れてくる漫画は主人公(あるいは読者)に大量のラブを表現する漫画が目立ちます。
メスガキ漫画も「実は男のことが好きだった」系が逆の逆で主流にすらなっています。

2023年春アニメでも「僕の中のやばいやつ」が待望のアニメ化しヒット、2期も確定しました。

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「転校生がグイグイくる」「久保さんは僕を許さない」なども同時期に放映されていました。
「放課後インソムニア」もメインカップル以外は2人に水を差すどころかよそでくっつくなどもしませんでした。
「スキップとローファー」も三角関係にはなりそうでなりませんでしたね。

負けヒロインかどうかは議論が分かれるところである(ミカ/スキップとローファー)

ただ相手からグイグイくるだけでは飽き足らず、ついにロシア語でグイグイくる漫画まで出現しました。
三角関係すら許されない、言わんやハーレムをば
そう、世はまさに大純愛時代なのです。

ロシア語でデレられて何が良いん?

そんな令和の世にあって我々に不足しているものとはなにか。

そう、負けヒロインです。

僕のヘキのすべての始まり(大島千づる/となりの怪物くん)

負けヒロインとは単に「主人公と結ばれないヒロイン」というだけの存在ではありません。
主人公へのでかい恋心があり、それを明確に表現しているが恋は成就することなく他の男も結ばれるようなこともない(重要)ヒロインを指します。
でかい恋心から大胆なアプローチに出たり、報われないとイジイジしたり、恋愛から解き放たれて別の方面から報われたり。
そういう負けヒロインを求めているのです。

もかちゃんはさいかわかわいい(鴎端のり子/クズの本懐)

具体例として「物語シリーズ」を挙げます。
物語シリーズは多くのヒロインが出てくるいわゆるハーレムものです。
そのヒロインたちは主人公の阿良々木くんのことが好きです。妹も含めて。
その中でも阿良々木くんと付き合うことになる戦場ヶ原ひたぎが今作の正ヒロインということになります。

では戦場ヶ原ひたぎ以外は負けヒロインなのでしょうか。
答えは否です。

正ヒロインがいても恋心を諦めない、暴走する、逆に昇華させて別の才能を開花させる、そのひたむきさが負けヒロインには必要なのです。

物語シリーズの負けヒロインといえば羽川翼とお思いの方が多いでしょう。

でも僕が好きなのは千石撫子ちゃん!!

ここが嫌いなオタクいない説

阿良々木くんのことが好きすぎて神様になってしまうという究極のこじらせ具合。
怪異の猫を被ってた羽川とは違い自らが怪異となるくらいの行動力。
これが我々の求める負けヒロインなのです。

しかし物語シリーズなんてのは平成の名作。
令和の世に負けヒロインはいないのか。

余った負けヒロインをくっつければいいわけないんやぞ(比良平ちさき/凪のあすから)

否である。

2023年、負けヒロインの新星が現れた。

有馬かなである。

主人公のことが好きなことを隠しきれておらず、主人公へのラブコールを作中の人物にバレバレなレベルで送り続けています。

しかし主人公はなびがない。こいつはゼロ年系難聴主人公と平成ラノベ転生系何かやっちゃいました主人公と令和系推し絶対主義主人公を組み合わせた無敵のヤレヤレ系主人公だからである。

そして主人公は母でありかつ、アイドルの「アイ」に恋い焦がれている。アイは既に死亡しており、主人公は叶わない片思いをし続けており、有馬かなも叶わない恋敵と戦わないといけないのである。

ハイライトなんでなんぼ書き込んでもいいですからね。

だが有馬かなの受難は終わらない

主人公は恋愛バラエティショーの中で彼女を作ってしまう。
表向きには黒川あかねが彼女ということになってしまったのだ。

この子も負けヒロインの素質があります

もちろん主人公は黒川あかねにも本気ではありません。表向きは彼女を続けて人気を維持しようとしているだけです。
ただ黒川あかねはそうではないようで……というところで1期は終わり、2期の制作が発表されました。

2期では舞台上で有馬かなvs黒川あかねの負けヒロイン頂上決戦が繰り広げられるようです。いいぞ!!もっと戦え!!!

この二人の火花で光合成をした種はきっと美しい花を咲かせる

負けヒロインからしか摂取できない萌を供給してくれる作品。
我々はそれを渇望して止まないのである。

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