上を見ても下を見ても
髪を切ってきた。行った美容院というより美容師さんは足掛け30年近い。頼むから先に死なないでと毎回思う。行く前に言われるであろうと覚悟していた白髪もやっぱり言われた。『コリャヒドイけど染めないんだよね?』笑顔で接客されるが白髪が目立たぬ様に分け目を変更された。切ない。
前の日、朝の通勤路にウグイスの声が聞こえてくる。春一番の美声が響く。『ホーホケキョケキョ』。瞬間世界が反転した。転んだ私の耳に無常に『ホーホケキョケキョケキョ』。
膝は黒いタイツに肌色の水玉ができた。替えがない、黒糸で縫う。どうやら足も捻る。一日終わり家でお風呂に入ろうとしたら傷が滲みて此処一番の悲鳴が風呂場に響く『イターーーーーイ』
話は戻り、髪を切った後近くのスタバで一息入れた。姉から連絡がたまたま入りお茶でもとなった。私を見て姉から一言『なんかおばさんって感じ』。おばさんは事実だけど。
お茶の後は車で買い物に行く。
途中の川縁の桜が見頃だ。
そぞろ歩きをしたいけど、足が痛い。
でもするかと車を止める。
満開と蕾も有り、1番良い時に観れた。しかしものの数分もしないうちに人の波が。車が出れなくなりそうなので早足で戻る。出ようとすると見知らぬ男性に車の窓越しに声を掛けられる。『ブレーキランプ切れてますよ!』
まあ、今年はそんな年らしいから仕方ないさと思いながら夕ご飯を食べる。毎日一食だけど久しぶりに物をたくさん口に入れたからお腹が下る。イタタ。
数年前ならこういう事に腹を立てて、天に呪詛を吐いていたであろう自分も鈍感になったので、怒りや運の無さに気持ちが振り回されにくい。昔の人は良い事を言う。上を見てもキリが無い。下を見てもキリが無い。
上を見上げたらハナミズキ?の花が朝だけの青空に映えて綺麗。
足元を見れば小さな植え込みにはマーガレット?も。足は痛いけど暑くも無く寒くも無くまあいいじゃない。
トドメに玄関先で買い物が落ちて散らばる。
目線の先にキノコ。
今日1番のお気に入りの写真が撮れた。
何処を見てもキリが無いなら目の前もアリかも。
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