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酸っぱいぶどう考

相変わらずの真夜中に掛かってくるろくでもない電話。
電話口の人の友達が、
「(自分も知る人に)かなり傷つけられたと泣いていた。」
と言う話で、電話口の人は怒り心頭だった。

自分がお稽古事の件で対処に困っていた時の素っ気ない返事。
「気にしなきゃいいじゃん」

何その落差は。興味が無い話には反応が更に薄い。

当事者二人を想像する。
イソップ童話の
酸っぱい葡萄のきつね同士が出会ったみたいかもと思った。

イソップ童話の
酸っぱい葡萄🍇の話

ある日、狐は、木の枝に這っている蔓から、熟したぶどうが一房垂れているのを見つけました。
ぶどうは今にも割れて果汁が出そうで、それを食べたくて眺めているうちに狐の口に唾が出てきました。
ぶどうの房は高い枝から下がっていて、狐はそれをとるのに跳びはねなくてはなりませんでした。
最初に跳ねたときははるかに手が届きませんでした。
そこでもっと離れたところまで歩いていって、助走して跳ねましたが、また届きませんでした。何度も何度もやってみましたが、だめでした。
そこで狐は座りこみ、うんざりしてぶどうを眺めました。
「おれはなんて馬鹿だ」と狐は言いました。「ぶどうをとろうとして、こうしてすっかりくたびれるなんてさ。口を開けてみとれる値打ちもない酸っぱいぶどうなのによ」
そうしてとてもとても嘲りながら去っていきました。

出典 どこか

この話の戒め的な事は負け惜しみはカッコ悪いみたいな話。
でも自分にはこの話は違うんだよね。


きつねは葡萄をそこまでして食べたかったの?って思う。

内容からすれば確かに魅力的なんだけど、”わざわざ執着”した結果って気がしてならない。もっと魅力的な葡萄を探しもしてないし。
ひょっとして、あんな高い所の葡萄が食べられた自分を自慢したいのかも。


ここまで敢えて電話の内容を書かなかったのがちょっとした恋愛のお話だから。

電話口の人の友人は家族が居るけど相手にかなり入れ込んでいて、一般的な額を軽く超える高価なプレゼントを渡したり、はるばる東北からこちらまで足しげく通っていた。仕事でこちらより更に西に用事があれば必ず寄るという具合。勿論出張費は定額だから足が出た分は自腹になる。本来なら飛行機で一本を新幹線の乗り継ぎになる訳だからいくら稼ぎが良くても頻繁はお財布に痛い。

相手の自慢いっぱいのSNSには、わざとらしい他人行儀な言葉が並んでいたけど、特別扱いをされた感の自慢は透けて見える。

高価なプレゼントを何枚も写し取る。
二人なのか複数なのかもわからない、これまたお高いお店の料理写真。
何件も通知が来るから夜まとめてみると真っ先にコメントのリレー。
多分お互い舞い上がっていたのは想像つく。

しかし匂わせたお陰で逆に周りの反応が薄くなる。お手付きかとわかると相手を羨望するファンが少なくなる。そして相手の最大の友達”飽きる”がやってきて他に行こうと誘う。

電話口の人に向かって相手の事を見抜けなかったと嘆く。多分電話口の人の友人は相手をちょっとしたときめきを永遠にくれる人だと思っていたのだろう。

相手もそんなことは理解しているから、体よく捨てるのは簡単だから付き合える。
相手はさも残念そうに電話口の人の友人に大事な家族がいるから元に戻れと言うだけだし。
相手の誤算は多分多分楽でお金も時間もかからず適当に楽しめるはずが、面倒臭い相手になってきたのだろう。

本当なら相手の誕生日を先週お祝いできた筈。
人気者を独り占めできたと喜べた筈。

でも銀座の割烹で涙目で出てくる言葉は
「ああいう自己中心な所は解っていたはずなのに見抜けなかった」
「最悪なナルシストだった」という。

今までがまるで嘘でしたという感じの言葉。


相手の誕生日、
自慢バロメーターのいいねが付かないだろうと思うのか、相手はいいねがわからない形で誕生日を高級ワインやシャンパンや高級な食事の写真を垂れ流す。だけどあれ程しつこく上げていた誕生日プレゼントは何も出てこない。理由はわからない。


それぞれ立ち去ったきつねはまた新しい酸っぱい葡萄にチャレンジするのかな?懲りるのか。






※難解文章の手引き(単に書き方が拙いだけなんだけどね)

①自分(何処ぞの)
②電話口の人
③電話口の人のお友達←女性(既婚)
④相手(③の好きな人)←男性(独身)

①と②が電話で話している
①と④は知り合い程度。そして割と近い場所に住んで居る。
電話の内容は③と④の話
話の内容は②が③と銀座の割烹でご飯を食べて居た時、④との出来事を告白された。

これくらいでなんとかわかるかなぁ。


その後の話


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