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俳句幼稚園 そこに居る


農家が殆どの田舎に住むと、そこの人達の工夫があちこちと畑や田んぼの傍にある。
秀逸だったのが広大な田んぼの傍の用水路で大きな木が生えていて
用水路のすぐ脇に持ち込んだ縁側があった。
木陰で休めるし、水はすぐそば。
夏場は用水路のお陰で風もひんやりしていて気持ちがいい。

野山を駆け巡るタイプじゃないから、縁側で本を読んでいた。
わーわーはしゃぐ子をよそ目に本を読みながら
ぼんやり空想してという、もう一度やりたい暮らし。

わーわー言う声も騒がしく
だんだん近づいてくるから、本を閉じてやってくる子を見る。

その地方は訛りが強くて正直会話は一方的になる。相手は自分が話すことがわかるけど自分は不明という。
何か話しかけられるが、そもそも聞く気が無いので訝しい顔をして終わる。

子供たちは近くまで来るものの自分を避けて
また走り出す。
「うるさいな」とこましゃくれた子供の自分が
心でつぶやく。

ふと、誰かが自分を気にかけていると感じた。
しかもかなり近くで。
誰だろう?

縁側の下からするすると
多分相当大きかったから2メートル近い青大将が
足元に現れる。

驚きはしたけど
きらきら輝くからだと
小さい黒い目が
なんとなくこちらをみているようで。

「元気でね」と手を小さく振った。











明暗に青大将は線をひき
めいあんに あおだいしょうは せんをひき


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