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BRANDNEW DAY

こんにちは。新しい日々。

稽古でかなり上のクラスの受講を初めて受ける。
間違っても飛び級じゃ無くて1段が高いだけの話。

バスの中でヤフー天気予報でも見るか?とスマホを触ると間違えて占いのページに飛ぶ。

げ!

いつもロクな事を書かれていないので、占いを信じない自分は天気のページにページ移動をしようとしたら占いの結果が出る。

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成長ねぇ。冷めた自分がそこに居たが、ネタ的にスクショをする。

MISS BRAND-NEW DAY
バスの中で掛かる曲。今日はどんな日々の初まりなんだよ。

このクラスに誘って頂いた佐藤さんから、丁寧にこうすると速い人を気にせずのんびり走れるとか沢山の有益なアドバイスを頂く。

練習が進み、少し佐藤さんの顔が曇りはじめる。無意識に慌てて走る自分が前を走る佐藤さんに追いついていた。相手の顔に焦りを読み取る。

休憩時間に一足先に上のクラスに移っていた山田ご夫妻が
「後ろから2人(佐藤さんと自分)が追っかけて来るから焦る焦る」
と笑いながら言う。少し曇りは消えた顔をしていた。

詳細は省くが、いくつかの課題を時間単位で練習する仕組みのこのお稽古、課題により得手不得手がある。次の課題は状況により得手に転じる内容なのだが、神社への参拝効果か得手の内容だった。

その頃には、クラス初参加の自分がなんとか追いついている事が顔見知りに知れ渡ると、煽りで「お手柔らかにお願いします」などと言う。要らぬことを言うなと心で舌打ちをする。

山田ご夫婦がやってきて「二人ともいいペースだよ」と励ましほめてくれる。そしてあの箇所どうやってるの?と聞いてくるので自分なりの方法を説明した。普段は上手い人に説明などしないが、インストラクターからお墨付きをもらったので説明できた。しかしそれを聞く佐藤さんの顔は曇る。しまった。

時間の経過と共に更に佐藤さんの顔が暗くなる。彼女は自分より先に上のクラスに移っているので焦りもある事はわかる。刺激しないようにあまり会話をしないでおく。口は禍の元だ。

そして最終課題。自分はもうへとへと。集中力も欠けていたのでどんどん遅くなる。かなり前走と間隔が空く。インストラクターに早々呼び止められ、アドバイスを受けている自分を横目に練習していた佐藤さんから少し安堵の表情がみえる。

もう嫌になったら止めて見学でいいやと、へとへとだけどしっかり基本を押さえた練習を続ける。すると見えてくる。ああ、これか。少しだけ背伸びする、出来た。もう少し背伸びする。
気づくともう佐藤さんの真後ろを追いかける状態になっていた。悟られないようにそっと時間を遅らせる。

山田ご夫婦が「速くなってる!」と佐藤さんと自分を褒める。そして初参加の自分に「もうこのクラスで大丈夫でしょ?」と質問をしてくる。
「や、皆さんの方が遥かに速いし、自分はフォームが酷すぎて呼ばれていました」と言葉を選びながら答える。しかしそれは相手には伝わらず「でも今出来ているし、今日初めてなら上出来!」と励ますから完全に裏目に出る。

もう佐藤さんは口を堅く結んで口をきかない。ご夫婦は更に自分を褒めて伸ばそうとしてくれる。「基礎をしっかりやってるから、いきなり普通に走れるね!」「自分が1年かけた事も基礎クラスでしっかりやるとそのまま走れるね~」とあれこれ褒めてくる。ありがたいけどもういいよ。

既にそのクラスを受講しているが、その日別の内容を受けている顔見知りから次々に「次回一緒に走ろう!」と言われる都度自分は当惑した。

上のクラスでは、ある程度走れないと「元のクラスに戻れ戻れコール」を受講生が空気で送るのだ。佐藤さんは戻れコールは受けていないものの、自分の今の状況と同じじゃ無かったから、ロッカールームでは完全にこちらを見ないし、そそくさとバスに乗り込んでいく。

帰り際にありがとうございましたと佐藤さんに挨拶をする。そして「まだ課題が多いから下のクラスに戻って練習します」と告げると今日一番の安堵の顔をする。

どうしていつもこうなるのかと哀しくなる。
何がダメなんだろう。自分では分からない。


ある人に「あなたは周りから”自分はこいつより上であるべき”というベンチマークの役割にされやすい。失礼だけど、殆どの相手はあなたを馬鹿にしている前提で付き合っているよね」と思いっきり杭を打ち込まれた事がある。ぐうの音も出ない節があり、落ち込むけど処世術としてこれは必要な情報なんだと感じた。

いつもの人生のパターンでは、今後上手くなった相手から無理やりひっぱり出されて「どうだ!自分は上手いだろ!」と自分の頭を抑えに来る。その後何度も相手が飽きるまでマウントを取られ続ける。

流石に自分も同じことを繰り返す馬鹿じゃないから、ある程度上達して「少しダメ」の場所をキープする術を身に着ける。今回もこっそり練習しておかないと拙いな。

自分は自分の心地よい場所を探してそこでのんびりしたい。
一番暑くもなく寒くもなく寂しくもない場所を探す猫みたいなものだ。


BRANDNEW DAY 新しい日々よ、ようこそ。



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