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農作物を「作る」から「食べる」までデザインしたい|長野美鳳の言葉

新潟県の燕三条地域で
お仕事をしながら
兼業で農家をしている女の子3人組
農業crew」を皆さんはご存知でしょうか?

第一弾の今回は、農業crew代表の
長野美鳳さんにお話を聞きました。
インタビュー中に私がグッときた
みほさんの言葉とともにご紹介します!

長野 美鳳(ながの みほ)
Twitterinstagram
1993年生まれ。新潟県三条市出身。本業は包丁メーカーのプロダクトデザイナー。企画開発から売り方のデザインまでも担当。週末は農家として働く。好きなものはビール。インスタグラムで #本ビ (本日のビア)動画も公開中。

①「わたしのアイデンティティは農家だった」遠回りして見つけた大きな気づき

コメ農家の家に生まれ育ったみほさん。
小さい頃から、お米や野菜が
家にたくさんあることは当たり前でしたが、
学生時代はジャンキーな食べ物が好きで、
実家の農業にはそこまで興味が無かったそう。

なぜそんな彼女が農業をすることに?

その根本には、彼女の
「私も何かをやってみたい!」という
自己実現への思いがありました。

例えば、
大好きなビールを仕事にできるのでは?
と思ってビールの勉強をしてみたり、
すぐ行動に移せなかった自分を変えるために
オーストラリアに弾丸で旅をしてみたり。

いろいろ挑戦する中でも
おおきなきっかけになったのが、
大学時代の、イタリアンレストランでの
アルバイトでした。
そこのオーナーシェフの作る料理が
「素材そのものの味を生かした料理」で、
丁寧な調理法で、ふつうの野菜が
とびきりおいしくなる瞬間を見て
感激したんだそう。

そこでみほさんが気づいたのが、
自分の感動の先にはいつも
「農」と「食」があったということ。

ビールがおもしろいと思えたのは、
麦やホップの素材本来の奥深さを知ったから。
オーストラリアの旅では、
朝ごはんを大切にする文化に刺激を受けた。

自己実現をしたいという思いの中で見つけた
それぞれの点同士が一気に線になり、
気づいたことが・・・

「わたしのアイデンティティは農家だった。わたし、農業やりたい。」

これをちょうど一年前の今ごろ、
Twitterでつぶやいてみたら
共感してくれたのが幼馴染のふたり。
本業をしながらの「兼業農家」という形で、
3人で農業をすることになったそうです。

②「おばあちゃんたちの野菜に勝てるわけない」ニッチな野菜で自分たちらしい農業を

みほさんのお父さんもお母さんも
兼業農家ということもあり、
教えてくれる人の存在や
初期準備もすでに整っていました。

でも、自分たちで農業をすると言ったって
何を作る?どうやって売る?という疑問が。
みほさんは三条の朝市に視察に行きました。

そこで、おばあちゃんたちが売ってる
大きくて新鮮な野菜を見て思ったこと。

「どう考えてもおばあちゃんたちが作った大根に、わたしたちが作った大根が勝てるわけない。わたしたちはわたしたちなりの野菜を作ろう。」

おばあちゃんたちが作ってなさそうだけど、
ちゃんと需要がある野菜ってなんだろう?

みほさんは、
普段の食卓に並ぶような野菜ではなく
飲食店などに求められるような
ビーツやルッコラ、コリンキーなど
ちょっと珍しい野菜を作ることにしました。
(↓写真はサラダかぼちゃのコリンキー)

去年の夏から、
三条の朝市やイベントなどで農産物を販売。

自分たちが愛情込めて育てた野菜を
お客さんに直接届けられるのがうれしく、
「わたしたちの野菜だから買いたい」
と思ってもらえたことが
少しづつ自信に繋がったんだそうです。

③「米袋がインテリアの邪魔になるなんてイヤだ!」商品の魅せ方は妥協しない

「作る」から「売る」まで手がけるみほさん。
一番こだわっているのが「売り方」です。

本業のメーカーでの仕事で「ブランディング」
について学んでいたこともあり、
実際に消費者の手に届く「売る」シーンには
こだわりがありました。

以前から、実家のお米が
大きな袋に入れられて「県産こしひかり」と
ドドーンと書かれたありきたりな
パッケージに嫌気がさしていたそう。

「食べ物って普段の生活に必要不可欠で暮らしに溶け込むべきものなのに、どうして家ではインテリアの邪魔にならなきゃいけないの?」

家族で大切に育てたお米。
もっと可愛く、もっとおしゃれに売りたい。
そこで、デザイナーとコラボレーションした
シールを紙袋に貼って販売しました。

初めてのお客さんが手に取りやすいように
1合200円からでも売っています。
そこからリピーターになり、
数キロ単位で買ってくれる人もいるんだとか。

お米だけじゃなく、
野菜の売り方にもこだわりが。
カラフルな野菜の色を目立たせるために
入れる袋は麻で、ポップはシンプルに黒。
野菜以外の物の色を
ベージュと黒に統一しています。

④「おいしいって思ってもらうところまで責任を持ちたい」美味しくて楽しい場作りも

お米や野菜を作って売る、
ここまででもすごいんですが、
みほさんはそれだけじゃないんです。

自分で料理もしちゃうし、
食べてもらうための場所も提供しちゃう。

小学生の頃から料理が好きだったみほさん。
暇さえあればレシピを考えるのも好きで、
いまではごはんのワークショップや
ケータリングなどをやっています。

直近で開催したのは、
節分の朝ごはんイベント
もともとスナックだった空き家を利用して
朝からみんなで恵方巻きを食べました。

「作るところから口に入れるところまで責任を持って、最終的においしいって言ってもらえれば、もっとわたしたちの作物を好きになってもらえると思う。」

次のみほさんの挑戦は「朝ピクニック」。
朝からみんなで集まって
自然の中でおいしい朝ごはんを食べて、
「おはよう」と言える空間を作りたいそう。

農業crew代表、長野美鳳さん。
これから、新潟の農業と食文化を
切り開いてくれる存在なのは間違いなしです。


〜あとがき〜

イベントでご馳走になった、みほさんの「大根の柚子マリネ」。美味しすぎて、わたしはあの味を忘れられません。おなかいっぱいだったけど、それだけはおかわりしました。料理もおいしい上に、こんな可愛い三人組が野菜から作ってるっていうんだから、魅力でしかなかった。わたしはその日から「農業crew」が気になって仕方ありませんでした。だからこうしてお話を聞けてうれしかったです。
みほさんは、見た目も中身もとってもかわいいんです。まず、目がキラキラしてて、全力で笑う笑顔がチャーミング。大きなピアスときれいなネイルが似合うイマドキ女子だから、第一印象だと「え、この人が農業?」って思う人も少なくないかもしれません。素敵すぎるギャップなんです。話してみたらの印象は「パッションに溢れてる!!!」「どんなことからも学び取る姿勢が半端ない!!!」でした。感受性も想像力も豊かなみほさん。こんな素敵で素晴らしいのに、なんと年齢はわたしと同い年。なんだろうこの衝撃は。でも本当に新潟の食と農のカルチャーが、みほさんで変わっていく気がしました。みなさんも、とにかくおいしいみほさんたちの食材!お料理!ぜひ食べてみてほしいです。

2019/02/10
(写真は一部、みきちゃん
撮っていただきました!ありがとう!)

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