フードスケープってなんだろう2
ジョセ・ジョンストン/シャイヨン・バウマン2020『フーディー - グルメフードスケープにおける民主主義と卓越化』を読んで。
フードスケープという考え方をベースにして何かを分析した日本語の本やエッセイは、そう多くないんじゃないかなと思います。
この本は、フードスケープからフーディー(食通の人)の言説を分析した本です。食の真正性や文化的オムニボアなど、興味深いトピックスがとりあげられていますが、今回は立ち入らず「フードスケープ」だけに焦点を絞ります。
著者は、アパデュライが導入した「scapes(景)」の視座から「フードスケープ」を捉えています。
アパデュライは、グローバリゼーションをあらゆる視点から同じように見える均質化[1]ではなく、アクター(行為者)の歴史的、言語的、政治的立場によって異なる、複合的かつ重層的な過程が深く見通しある構成概念として「scapes(景)」の領域から考えました(アパデュライ2004)。
ジョンストンとバウマンは、食と「scapes」の考え方を組み合わせて、「フードスケープ」を定義しています。
いきなり難しいです。ちょっと簡単に書き換えます。
前提として、社会の中で食(べ物)は単純に人が食べる物だけでとらえることはできないという点があげられます。
「フードスケープ」とは、食そのものを社会的な総体としてとらえる視点である。食は、場所・人々・意味など、さまざまなイメージが重なり合ってできている。少なくとも、食と環境、食の経済的関係、食品の生産・消費、食文化としての嗜好と意味、食べ物の物質性に関しては社会構造、物理風景・生態学などが関連しあって食を形成している。
といったところでしょうか。うまく書けているか自信ないですが。
以下の文章はChatGPTが要約してくれた内容です。
前回、フードスケープとは
2つの見解を比べると、後者のほうが具体性があり、はっきりとしているぶん、対象の範囲が狭いような気がします。しかし、だからこそフードスケープといった視座から食を考えることができるともいえます。
今回みてきたフードスケープの定義は食の背景すべてを扱っていてより広範な考え方です。こうした方向性はアパデュライが定義したスケープの次元との関連を示しています。具体的には、人の立場によって異なるあらゆる景があることとの関連性です。
続く
脚注
[1]均質化とは、グローバル化が欧米化やスタンダード化と同意義になることと思われます。
参考文献
ジョセ・ジョンストン/シャイヨン・バウマン2020『フーディー - グルメフードスケープにおける民主主義と卓越化』村井重樹 [ほか] (訳)
河合洋尚2021「フードスケープ」野林厚志(編)『世界の食文化百科事典』丸善出版、pp.24-25.
平凡社さん!!!重版!!!お願いします!!!!
アパデュライ・アルジュン2004『さまよえる近代』門田 健一(訳)平凡社
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