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韓国ウェブトゥーンの歴史 調べてみた!

こんちには。株式会社コピンコミュニケーションズジャパンのハツミです。弊社、コピンはスマホの縦読み漫画、通称『ウェブトゥーン』を制作している会社です!

皆さま、ウェブトゥーンというものをご存知ですか?もし、ご存じなければ、弊社でウェブトゥーンに関する記事をいくつか書いておりますので、よろしければご覧ください。

ウェブトゥーンは、韓国発祥の世界的にも"キテる"コンテンツです。そして、すでにウェブトゥーンの波は日本にも届いております!近年、韓国産のウェブトゥーンがグローバル市場でも人気になり、ドラマ化・アニメ化され、VR、グッズ、ゲームと様々なメディアミックスがされている背景も考えますと、世界規模で勢いのあるコンテンツであることは間違いありません!

日本でも、この勢いに乗ろうと、多くの大手出版社がウェブトゥーン市場の開拓を準備している段階です。弊社コピンも、日本産のウェブトゥーンを世界に届けるべく、日々制作に励んでおります。

2021年9月現在、日本のウェブトゥーン市場は「過渡期」にあると思います。日本では、紙の漫画文化がすでに根付いていたこともあり、ウェブトゥーンの着手や、グローバル市場の乗り出しに少々出遅れた感はありますが、「ここから巻き返そう」と国内での熱量が高まっています。

そこで、今回は、本場韓国でどのようにしてウェブトゥーンが成長していったのかを、簡単に、時系列ごとにご紹介していきたいと思います。本場韓国でも、ウェブトゥーンが国内に浸透し、世界に進出するまでに多くの苦難や葛藤があったようですので、それをシェアすることで日本のウェブトゥーン業界の発展に寄与出来たらと思い、稚拙ながらnoteを書かせていただきます。

また、誤解のないように、はじめに申し上げておきますと、ウェブトゥーンがキテいるからといって、「既存の漫画文化が廃れる」「漫画は、ウェブトゥーンにとってかわられる」といったことは無いと思っております。それに関しては、以下の記事で言及しておりますので、よろしければこちらの記事もご覧ください!(土下座)

では、さっそく韓国のウェブトゥーンの流れをざっくりご紹介いたします。


1990年 ウェブトゥーン創世記

ウェブトゥーンのはじまりは、個人作家がネット上に、マンガのようなイラスト付きの投稿をし始めたことがきっかけと言われております。このころの有名な作品として、『スノーキャット』や『マリンブルース』といったものがあります。作品を実際に見てもらうとわかりますが、現在のウェブトゥーンよりはだいぶシンプルな絵柄ですね。

この頃は、Flash形式の漫画や、Evernoteに画像を連続で貼り付けたものなども、総称して『ウェブトゥーン』とされていたらしく、投稿されるサイトも作家の個人サイトなどが多かったようです。その後、このウェブトゥーンの勢いに目を付けた様々な企業が、ウェブトゥーンの投稿先を統合するために「ポータルサイト」を続々と作るようになります。

また、この頃は、ウェブトゥーンの形式が、確立されていなかったこともあり、ストーリー物のウェブトゥーンは少なく、内容もエッセイや、短編日常モノの作品が多かったようです。

参考:https://m.blog.naver.com/studio_lms/221350965003(韓国Wiki)
 https://ko.wikipedia.org/wiki/%EC%9B%B9%ED%88%B0(韓国語サイト)
 ※韓国語サイトにつき、Google翻訳等をお使いください。

2000年 カカオ、NAVER参入/ウェブトゥーンのストーリー化

この時代に、カカオとNAVERがウェブトゥーン投稿用のプラットフォームを立ち上げます。カカオとNAVERは、現在、ピッコマとLINEマンガとしても、日本では広く認知されておりますよね。韓国内でも、ポータルサイトにおいて、徐々にカカオとNAVERの二極化構造になっていったそうです。

そして、この頃に、カンプルという作者の「純情漫画」という作品がヒットしたこともあり、ウェブトゥーンにおいても、「長編ストーリー化」の流れがきます。プラットフォームの発展と、内容のストーリー化により、ますますウェブトゥーンは勢いづいていきます。

純情

(引用元: カンプル / 純情漫画)

日本ではこの頃から、紙の出版業界の売り上げが下がってきます。同様の波が韓国内でも起きていたため、コンテンツのデジタル化の流れもあり、ウェブトゥーンの熱が高まっていきます。

しかし、韓国ではウェブトゥーンは、作者が無料で公開していたカルチャーだったこともあり、各プラットフォームも、基本は無料で作品が読めるようになっていたようです。そのため、現在のような課金体系にはなっておらず、多くのプラットフォームは、Youtubeのような広告モデルをとっておりました。そのため各社は、まずは課金体系を確立するよりも、ユーザを少しでも多く、囲い込む戦略をとっていたようです。

2010年 スマホの波、プラットフォームの進化

この時期に、デジタルコンテンツの流通を加速させる大きな波が訪れます。「スマートフォンの普及」です。これにより、各社ウェブ上でつくっていたプラットフォームではなく、スマホ最適化されたアプリで、ウェブトゥーンを配信できるようになり、現在の形式にぐっと近づいていきます。

そして、2013年に韓国内でレジンエンターテイメントから、レジンコミックスというプラットフォームが誕生します。こちらは今までの韓国内での、「WEB漫画は無料」という認識を覆した、コンテンツ課金型のプラットフォームです。このコンテンツ直接課金型のシステムは、スマホの普及と、モバイル決済の発展により、実現されたといわれております。

しかし、はじめ韓国国内では、いままで無料で読めていたウェブトゥーンが、有料で販売されるということに対する、批判も少なくなかったようです。そのため、現在でも各プラットフォームでは、「待てば無料」や「広告を見れば無料」などといった、様々な課金体系が用意されているのかもしれません。無料で漫画を読みたいというニーズと、買ってでも読みたいというニーズのバランスを調整するのが難しかったようです。

2020年 グローバル特化、コロナの波

長編ストーリーも作られるようになり、韓国内でウェブトゥーンのヒット作も続々と作れられるようになります。

しかし、韓国内で人気だったウェブトゥーンも、時代の流れとともに、ゲームや、ビデオなどのデジタルコンテンツにユーザのシェアが分散し、韓国国内での売り上げが伸び悩むようになります。そこで、韓国ウェブトゥーン業界は、グローバル市場に乗り出すわけです。

上記の記事で、講談社の国際ライツ事業部の森本達也さんが話されている内容が非常に参考になります。以下で、本文を引用させていただきます。

森本様: これはよく言われていることですが韓国では国内需要が限られているから海外に自国のエンタメカルチャーを輸出することを常に念頭に置いています。日本でよく目にするようになったK-POPや韓国ドラマもそうですよね。漫画についても同じように、海外志向はとても強いです。

韓国のこの「限られた国内需要ではなく、はじめからグローバルシェアをとりにいく」という姿勢が、ウェブトゥーンにも活きていることは言うまでもありません。韓流ドラマ、K-POPと、これまでエンタメを世界に届けてきたノウハウや経験を活かし、ウェブトゥーンを世界に輸出し始めたのです。

また、今回の世界的なコロナ禍のステイホーム期間も、韓国のウェブトゥーンの勢いを後押ししたのではないかと推測しております。

最近のグローバル市場においての、ウェブトゥーンの動きについては、別記事にて紹介しておりますので、そちらをご覧ください。


以上、簡単にですが、韓国のウェブトゥーンの現在に至るまでの歴史になります。以下では、韓国内でのウェブトゥーンが世界に輸出されるにあたって、直面した諸問題についてご紹介させていただきます。


その他:翻訳の壁

韓国でも、国内で消費されていたコンテンツを、グローバル展開する際に、コンテンツの翻訳で難航したようです。ここでは少し、その翻訳に関して、ご紹介させていただきます。

LINEマンガでも、LINE Translateというサイトがありますが、こちらはなんと、公式の翻訳ではなく、ファンが有志で自国の翻訳を行うというサイトになっております。しかし、本場韓国のウェブトゥーンファンのサイトを確認してみたところ、一般ユーザーに翻訳を任せているので、誤翻訳や誤植が多かったりと、いまだ問題も多いようです。

ウェブトゥーンに限らず、マンガ等のグローバル翻訳は、言語的な難しさのほかに、各国の文化圏で禁止されている表現への配慮や、擬態語や擬音語(オノマトペ)の変換などもあり、実は非常に難しいのです。

そのため、現在、韓国のウェブトゥーン会社も、映画や小説などの翻訳サービス会社と手を組み、翻訳のクオリティを向上させるために試行錯誤しているようです。そういった動きがあるからなのか、韓国本国の求人サイトでも「ウェブトゥーンの翻訳業務」を結構な頻度で見ることがあります。

ウェブトゥーンが、日本の漫画表現より、セリフが減り、フルカラーで直感的なビジュアルになったといえど、言語を使ったコンテンツである以上、やはり言語的な障壁は大きいようです。この点は、今後、日本がウェブトゥーンで勝負していくうえでも、焦点になってくるのではないでしょうか。

その他:違法アップロードサイトの存在

海外ウェブトゥーン業界の大きな敵として、ウェブトゥーンの違法アップロードサイトがあります。コンテンツがデジタル化されると、違法コピーのリスクはその分大きくなります。韓国内でも、「夜のウサギ」と呼ばれるウェブトゥーンの違法アップロードサイトがあり、2018年に国内の警察に検挙されております。しかし、韓国内でも対処に有効な手段は見つかっておらず、同様のサイトは後を絶たず、イタチごっこになってしまっている現状です。

違法アップロードサイトの、一番の被害者は、ウェブトゥーンの作者です。そのため、法的な有効手段がない現在は、作者本人がSNS等で違法アップロードに対して、直接警告するという策が講じられているようです。しかし、違法アップロードに抗議した作者に、海外から脅迫文が届いたり、アカウントにハッキングをしかけられたりと、デジタルで世界を相手にしている分、世界規模のリスクに、作者本人がさらされてしまっているという悲しい現状です。

韓国のレジンコミックスが発表したデータによると、「違法サイトの一部が違法アップロードを停止したことによって、該当作品の売り上げが3割伸びた」というデータもあるそうです。そのため、違法サイトの対処は、コンテンツの売り上げに直結する問題とも言えます。

日本の漫画や、映画、アニメも、無断コピーや違法アップロードの被害にあっている状況を考えると、こちらも看過できない問題です。

まとめ

今回は、ウェブトゥーンの表現方法の確立から、プラットフォームの発展、韓国国内から世界にウェブトゥーンが飛び出していくまでの流れをざっと、ご紹介させていただきました!

現在、日本はウェブトゥーンに関して言えば、韓国の後手になっている感は否めません…。というのも、ウェブトゥーンを見るうえで、重要になるのはやはり「プラットフォーム」だからです。プラットフォームがあれば、自社の作品を流せますし、アプリ内で回遊してもらえるし、プロモーションの幅も広がるし…。もう、ウェブトゥーンに関して言えば、「プラットフォーム is パワー」と言っても過言ではありません。

現在、LINEマンガ、ピッコマのコンテンツ内容は、9割が日本のデジタルコミックか、デジタル化された漫画です。その他、1割程度が韓国で制作され、翻訳された縦スクロールのウェブトゥーンなのですが、その少ない作品数にも限らず、プラットフォーム上では、ウェブトゥーン作品単体の売り上げは、日本の漫画作品を大きく超えるそうです。

韓国は、ウェブトゥーンのプラットフォームの認知を広げたときも、旧課金体系から変更したときもそうですが、「まずは使ってもらって認知度を増やしていく」という戦略が本当にうまいですね…。

日本国内でも、国産のウェブトゥーンプラットフォームを作る動きも出てきてはいますが、すでにシェアの浸透した、現在の二極化構造に食らいついていく必要があるため、正直なかなか厳しいところではあります…。でも、がんばれ!!!国産ウェブトゥーン!がんばれ!(私たちも頑張ります。)



いかがでしたでしょうか!韓国ウェブトゥーンの国内での動きや、世界へ認知されたきっかけなどを分析することで、日本のウェブトゥーン産業が、日本産ウェブトゥーンを世界に届ける際のヒントになれば幸いです。

弊社コピンでは、韓国のコピン本社と連携し、本場韓国の技術と、日本のストーリーを融合させ、世界に誇れるような日本産のウェブトゥーン作りに励んでおります。この記事をお読みの方で、「我こそは、世界に名を轟かす者だ!」という志をお持ちの方がおりましたら、ぜひ弊社にお声がけください。

コピンについて:

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サムネの引用元作品:
Snowcat / Snowcat Diary(ホームページより)
外見至上主義 / パク・テジュン

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