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「2023年5月の珈琲 Nicaragua:碧のパレード」

新緑によりその存在感を増すこの季節のケヤキ並木が好きだ。

Nicaragua:碧のパレード
西から東へと連なるケヤキ並木
生い茂った若葉が
四車線に木陰をつくる
まばらな色した凸凹の自動車が
少しずつ前に進んでいく
歩道橋からみる碧のパレード
さらりと吹き抜けていく酸味

夏の暑さを予感させる日が増えてきた。

駅から自宅までの道を、日陰を選びながら歩く。
それでも、太陽が降りそそぐ日向を歩かなければならないことがある。

じりじりと肌を焼く太陽の光は、歩道に反射し、深く被った帽子に隠れた瞳に飛び込んでくる。
その暑さと眩しさは、春というより夏を思わせた。

国道の交差点にさしかかり、信号が青に変わるのを待った。

この交差点の横断歩道を渡るときは、必ず、横を見てしまう。
止まっている自動車を見るわけではない。
国道の両脇に並ぶケヤキ並木を見るのだ。

冬にその葉を落としたケヤキは、5月になると、青々とした葉をつけはじめる。
そして、国道の四車線を覆い、木陰をつくる。

上京した当初、その様子を見て、わたしは東京にいるんだと感じた。

大きなビルが立ち並び、ネオンがきらめく大都会東京。
でも、それと同じくらい、大きな緑が随所にある東京。

このケヤキ並木は、そんな東京を感じさせた。
だからなのか、新緑によりその存在感を増すこの季節のケヤキ並木が好きだ。

歩道橋に行かなくちゃ。

歩道橋の階段を駆け上がり、その真ん中に立つ。

国道には、ケヤキ並木と一緒に、いろんな色と車種の自動車が凸凹と並んでいる。

前に前に…。
何台もの自動車は少しずつ進んでいた。

パレードだ。
若葉の生い茂るケヤキ並木をいく碧のパレード。

歩道橋のうえで、さらりと吹き抜けていく風を感じながら、わたしは眼下に見える碧のパレードを眺めていた。

5月の珈琲「Nicaragua:碧のパレード」は、そんな様子を表現するために、すっきりとした焙煎にしたのだ。

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