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【いつか私がいなくなっても】
個展の際に入り口で配布していた文章を公開することにしました。
わかりづらい部分を一部修正しています。
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振り返れば、在処を探し続けていた。存在の本質と在処、それについて思考するときの葛藤がどこまでもあった。それが私だと思った。
私の世界に名前をつけようと思う。
「透碧」。ここは私の在処。静かに青い落ち葉を踏みしめ、静かに黒く透き通る碧い泉を見つめ、静かに眠るための場所。
![](https://assets.st-note.com/img/1676464741669-UzYqjQHCOh.jpg?width=1200)
いつか世界から私がいなくなっても、私は透碧の中にあり続ける。
この世界に、4日間だけ透碧を持ってきた。
お願いがあります。
もしここに来たあなたが、「許華」以外の「私」を知っているのならば、その「私」という前提は全て捨て去ってください。
ここにあるのは「許華」の世界です。「許華」以外の「私」は、ここではノイズにしかなりません。
私は許華です。
今ここは、私の世界です。
許華の在処です。
あなたの知る「許華」以外の「私」は、あなたの世界にいる私です。
その「私」は、あなたのものです。
許華とは、私自身の産んだ私です。
許華とは、私のものです。
許華とは、私の世界にあるものです。
だから、この透碧に、許華以外の「私」は持ち込まないでください。
強い言葉を使います。
あなたのものになっている「私」は、ここでは邪魔者以外の何でもないのです。
いつか私がいなくなっても、
あなたのものになった私は、あなたがいなくならない限りいなくなることはないでしょう。
許華は私です。私のものです。私がこの世界からいなくなれば、許華はあなたの世界からもいなくなるでしょう。
透碧から外に出ることはなくなり、もう二度と誰にも会うことはなくなるでしょう。
いつか私がいなくなっても、
許華が産み、許華の在処であるこの透碧を救いに感じる人がいるならば、静かに歩くことを許しましょう。この透碧に横たわって眠るあなたを守りましょう。青い木々の間に通る道の先には、黒く透き通った碧い泉があります。その淵でしばし座り込むのも良いでしょう。
いつか私がいなくなっても、許華という私は、私を見つめ続けます。だから、いつか私がいなくなっても、この世界は、ただ在り続けます。許華という私の在処として。
許華以外の、あなたの知る「私」という人間が描いた絵として、ここにある作品を鑑賞することはおやめください。
許華以外の、あなたの知る「私」という人間が産んだ世界として、ここを歩くことはおやめください。
これは「許華」という人の描いた絵だと思って鑑賞してください。
ここは「許華」という人の世界なんだと思ってください。
改めまして、
本日は「いつか私がいなくなっても」展にお越しくださいまして、誠にありがとうございます。
ここを訪れた皆さんにとって、良い記憶として痕ることを切に願っております。
許華
![](https://assets.st-note.com/img/1676464568912-K02mwRu7XC.jpg?width=1200)
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