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30歳で仕事が出来なくなるまでのこと

コロナが関係するのかどうか分からないが、ある時期を境に仕事が出来なくなった。


20代の頃、私は仕事が好きだった。バリキャリというほどでもないけれど、勉強して資格を取り、上司からも信頼され、順調にキャリアを積み重ねてきたと思う。何歳までに何をするといった明確なプランも持っていた。

30歳を前にして転職。私にとってはチャレンジングなもので、ワクワクした。いわゆるベンチャー企業で、上司も仲間もエネルギーのある人が多く、毎日が新鮮で楽しかった。

がむしゃらに頑張るうち、私は「いつも元気で何事にも真面目な体育会系女子」というキャラクターになっていた。悪いイメージではないと思ったし、その通りに振舞っていれば割と信頼してもらえるので楽だった。しかしそのうち、周りのイメージ通りでいることが辛くなってきた。「明るい体育会系女子」はいつの間にか「がさつな女」に見られていた。

部屋が汚い、休日は朝から一人でお酒を飲んでいる、料理もせずコンビニ弁当ばかり、ジャンクフード好き…等々。冗談なのか本気なのか分からない「いじり」をされることも多くなった。勝手に下ネタOKな人にされたのもきつかった。私は以前性暴力の被害にあったことがあり、特に男性の話す下ネタは嫌いだった。(職場で下ネタを話すこと自体どうなんだと思うけれど)


今年の初めから、大きな案件を担当することになった。任されたことが嬉しく、私は仕事に没頭した。業務時間内に消化出来ず、プライベートの時間を削った。誰にも助けを求めることが出来なかった。半年前、同じように業務が消化しきれず上司に相談した際、「そうやってすぐに人を頼るのは良くない」と言われ、自分で何とかするしかなかったことが思い出された。任された案件を一人で出来ないことは恥ずかしいことだと思った。

その案件は何とか無事に完了した。ありがたいことにクライアントからもお褒めの言葉をもらい、達成感があった。同時に「燃え尽きた感」を強く感じた。少し休みたかった。それはかなわず、次々に振ってくる案件を必死にこなそうとするうち、ついにパソコンに向かえなくなった。


いつの間にか職場に居場所をなくしていたこと、コロナ禍で人に会う機会が減り吐き出す場がなかったこと、そこに業務上のストレスが重なり限界を迎えたらしい。休職せざるを得なくなり、順調だと思っていた私のキャリアは突然止まってしまった。

きっと私のことを「いじって」いたあの人たちは、自分がどれだけ人のこころにダメージを負わせたかなんて気づいていないだろう。


あれから1か月が経つが、私は今も休職中で、毎日家事をしたり映画を観たりと、この暑さもあって家からあまり出ずのんびり過ごしている。振り替えると、こうしてゆっくり思考を巡らす時間なんてここ10年なかったことだ。これをきっかけに今後の人生が良いものになればいいな。次は休職中の心境でも書き出してみようと思う。

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