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青春の人最終回

改札を出て、出口に向かって階段を上っている時だった。

私はコード付きのイヤホンをつけていて、しかも久しぶりにお気に入りのプレイリストをリピートしていた。

ふと、右に目をやると

その瞬間に誰かが私を追い抜いた。

この3ヶ月間、頭の片隅にいつもいたあの人。

マスクはつけていなかった。

コード付きイヤホンをつけていた。

3ヶ月前、約3年ぶりに見かけたあの人。

それ以降、再び会うことは叶わず、

ちょっとSNSが気になったりしたけど

でももう一度なんて考えてなかった。

あの道をあの時間帯に歩くのは今日で最後。

私にとって些細で、でも特別なサプライズだった。

あの人に追いつきたいという欲が一瞬出て

私にしては珍しく早歩きになったけど、

あの人は途中の店に入ってしまったので、

追いつくことはできなかった。

思わず笑ってしまった。

何してんだろうなー私

ちょっとだけ期待と戸惑いが混ざった

不思議な気分を味わった。

その後、いつもの調子でのんびり歩いていると、

あの人はもう一度私を追い抜いた。

まさかの二度目の登場。

きっと向こうも気づいてる。

お互いに気づいているし

お互いに戸惑っているし

お互いに期待している

でも

どちらも相手を待つだけで

結局何も起きなかった。

私たちは二人とも臆病で

傷つきたくなくて

だから相手に動いて欲しくて

自分が優越感に浸りたくて

そんな小さなプライドが邪魔をして

私たちは終わってしまった

もう機会があるとは到底思えない。

まあ、

3年前にすでに終わっていると思っていたから

まさかの続編という感じだろうか

この半年間

忘れていたトキメキを思い出させてくれたあの人に感謝

そして

プライドが捨てられない、臆病な私たちへ

明日も素敵な1日になりますように

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