見出し画像

「“自分が否定されている”と、息子に思わせてはいけない。」……と、今の夫氏に言われてハッとした。

今の夫氏と再婚する前は、モラ夫というか……いろいろ問題のある夫と結婚生活を送っていた。長男は前の夫との子供であるため、今の夫氏とはいわゆる子連れ再婚でステップファミリーである。

私は、前の夫のことがとても嫌い。……と、言い続けてきた。

だって、子供を産んだ当日だって「俺のおかげで産めたんだからな」。子供は半年くらいのときに突然仕事辞めてきて「起業する。金が必要だからお前の貯金おろしてこい」。その後、起業した仕事でやらかしたっつって、さらに百何万と請求されたしね。

離婚してからはなんも音沙汰なかったけれど、再婚が決まったからと連絡したら「じゃあ養育費払わなくて済むんだ、ありがたいわ~。」ってさ。そもそも、滞ってて数ヶ月は払ってなかったじゃないか。どの口が言ってるんだ。

嫌いなところを本気で挙げ始めたらキリがなくなるから、ひとまずいくつかサラッと挙げてみた。まぁ、あんまり思い出したくもない。

で、今の夫氏にも「前の夫はこんなだった」「こういうところがすごく嫌いだった」って、友達に愚痴をいうように、結婚当初は夜な夜な話してたんだ。毎日ではなかったけれど。

始めはうんうんって聞いてくれて、よく頑張ってきたんだねって声をかけてくれた。私としても本当に辛い時期だったから、誰かにその頑張りを認めてもらえてる感覚がうれしかった。あと、元夫と比較して、あなたがいかに素敵かと伝えていたつもりだった。

ある晩、またいつものように元夫の話になったとき、夫氏に「ちょっとい~い?」って言われた。思ってることがあるんだ、聞いてくれる?って。

「僕はね、君が本当にがんばってきたこと、本当にすごいと思っている。あと、僕のことをすごく好きだ素敵だと思ってくれているのも。十分伝わってるよ。でも、もう前の旦那さんのことを僕らのあいだで悪くいうのは、やめよう。前の旦那さんのおかげで出会えたとはあんまり言いたくないけれど、事実としてあると思う。だからこそ、過去を否定し続けても、もう何も君の救いにはならない。」

そのまま、ポツポツと話を続けてくれた。

「あと、長男のこと。長男は、前の旦那さんとの子供だっていう事実は消えないんだ。僕だって、僕の身体の一部を受け継いでいてくれたら、どんなにうれしかったかとは、正直思うよ。でも、前の旦那さんの一部を受け継いでいるんだ。その事実は、いつか長男自身も知ることになる。そのときに、君が前の旦那さんを相当嫌っていること、その理由について話しているのを聞いてしまったら。『僕にも、その血が流れている。』と、長男自身が否定された気持ちになるんじゃないだろうか。

と。

その話をされたあと、自分の思いの至らなさに、心底泣いた。わんわん泣いた。今でも、このときの気持ちを思い出すと、じわ~っと涙が出てくる。

思い返せば、わたしは気持ちがたかぶってしまうと、感情表現が極端でストレートな節がある。

「今まで話した中で、一番話しやすいです!」って、本人であるAさんだけでなく第三者であるBさんが聞いている場所で言ったとしたら。過去にBさんが私と話したことがある場合、どんな気持ちになるだろうか。なんか、勝手に存在を下げられたみたいになる。私に悪気はないのに、傷つけてしまう。

……こんな感じで、この「“前の夫を批判する”と息子を傷つける」「“Aさんを褒めたはず”なのにBさんを傷つける」みたいな構図、私は本当によくやってしまっていたなと、夫氏の話で思ったのです。

これはもう、物事のバックグラウンドを考え続けるしかないんだろうな。自分から見えていることだけではなく、物事とモノゴトのつながりを見る目を養っていきたいな。

大切な気づきをもらえたこと、今の夫氏には感謝しかない。そして、息子のことをこんなに思ってくれている人と一緒になれたこと、本当によかったな、と、心から思う。

ぶち|言ノ葉執筆屋

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?