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読書メモ_人口減少社会のデザイン

Vol.03【人口減少社会のデザイン 広井良典】
1)P.184 “インフォーマルな社会保障”
90年代頃までは一定以上の平等を保っており、つまり比較的低い社会保障費で相応の生活の安定を実現していた。それはなぜだろうか。(中略)第一は「インフォーマルな社会保障」あるいは「見えない社会保障」とでも呼ぶべきセーフティネットが日本社会に存在していたという点だ。具体的にはそれは「カイシャ」と「家族」、つまり終身雇用を基調とし、加えて(給与の中に扶養手当や住宅手当といったものが含まれるなど)社員とその家族の生活を生涯にわたって保障するような「カイシャ」と介護や子育てなどをしっかりと担う、良くも悪くも安定した標準的な「家族」という存在によって支えられていた。しかしそれらはいずれも近年においては大きく流動化ないし多様化している。

P.214 “土地の公共性が希薄であること”
「ストックに関する社会保障」あるいは資産の再分配ということを正面から考えていく必要がある。
日本の場合、公的住宅は小泉改革以降縮減される方向にあり、(中略)残念ながら日本において土地は“私的所有”の対象であるとの意識が根強く、言い換えれば「土地の公共性」という意識が希薄である。(中略)関連して述べれば、近年の大きな社会的課題として挙げられる①シャッター通り、②空き地・空き家、③耕地放棄地という3つの問題は、異なる領域の話題であるように見えて、実は今取り上げている土地の私的所有の強さ、そしてその“家族を超えた継承”が日本において難しいという点がベースにあるという点において共通しているのである。

2)構造的な整理としては秀逸。なのだろうが、大きな構造に対しては前出の通り既得権からの抵抗により変革は難しいであろう。よって、ここで示された構図を頭に入れながらも、小さく辺境から変えていく取り組みを進めていくのがよいと思われる。スーパーシティ構想などでのスモールサクセスができれば、そこから繋がっていくのか?

#モリゼミ

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