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ルドビグ・オーベリ(アバーグ)の初マスターズを振り返る

オーガスタ・ナショナルの12番パー3は、数々のドラマを生むことで有名だが、今年の最終日では、11番パー4が注目を集めた。

首位シェフラーを追う二人のプレーヤーのセカンドショットがグリーン左の池へと吸い込まれたからだ。

結果、ルドヴィグ・オーバーグは単独2位、コリン・モリカワ3位タイで試合を終えた。

今回は初出場のマスターズで鮮烈なデビューを飾った、ルドヴィグ・オーバーグ(Ludvig Åberg)の試合後のインタビューを紹介していく。



最終日のスコアカード

会見ではサンデーバックナインの11番のダブルボギーに注目が集まった


11番と言えば、グリーンはわずかな打ち下ろしであり、フェアウェイのライは場所によるがつま先あがりになるだろう。そして落とし所が本当に狭い。
手前にショートすると池だが、オーバーするとバンカーだ。
右にショートすればマウンドに当たり、右をオーバーすると、池に向かって傾斜しているグリーンへ第三打を打つことになる。

オーバーグは、11番で池に入れダボ、続く12番のパー3では67ft(20メートル)のファーストパットを4ft(1.2メートル)に寄せ見事なパーセーブ。
そして13、14番をピンに絡めるグリーンアプローチで2バーディーと即座にバウンスバックで巻き返した。


Q:最終日は11番のダボの後、2バーディでバウンスバックを果たしたが、どのような思考プロセスとメンタリティで巻き返したのだろう?

オーバーグ:「私のチームは何が起ころうとも、ただプレーし続けることに集中しました。プレーを続ければ技も出てくるが、プレーをやめれば技は出てこない。これに関してはよくできたと思う。ボールを前に運びプレーし続ければ、残りのホールでチャンスがやってきます。この数ホールで強く巻き返せたのは自信になった。」



Q:11番のセカンドではキャディーとどんな会話をしたのか?

オーバーグ:「ピンまで190メートル、少し右からのアゲンストだった。今週はずっとグリーン右エッヂの右側を狙い、そこからドローでピンへ戻す球でプレーしていた。今日も同じようなショットを狙ったが、打ち出しが狙いより少し左になり、右からの風の影響もあって池に入ってしまった。おそらく今週、悪い場所へ行った数少ないショットの1つです。左にミスできない場面でミスしてしまった。しかし、プレー全体を見ると他の多くのことが、その一打をカバーしていると思います。」

とミスの原因を把握し、ポジティブな側面に焦点を当てることで自分なりに消化できている様子だった。

オーバーグの最終日11番の足取り



Q:初出場のマスターズだが、全く緊張を見せなかったようだった。ポジティブを心がけていた?

オーバーグ:「そうですね、いつもポジティブでいようとしています。オーガスタはグリーンやティーショットで細い違いや微妙な特徴が多い。私はキャディーのジョーを信頼しているし、今週は非常によく助けてくれた。アグレッシブに正しいスポットを攻めるときと、そうでないときのバランスが特に良かった。過剰に攻めると、難しいトリッキーな場所に自分を追い込むこともあるが、今週は最低でも寄せワンのチャンスを残せるよう攻めたのが良かった。キャディーの功績が大きい。」

ベテランキャディーとの息のあった、コースマネジメントやリスク評価が功を奏したようだ。



Q:ローリー・マキロイやシェーン・ローリーなどが、あなたが世界ランク1位になる日は近いと言っていますが、それを聞いてどうですか?

オーバーグ:「とても光栄です。そう言ってくれるなんてありがたいです。私とチームは良いこと(成果の出ること)を続けていますし、おそらくこの先大きな変更はしないでしょうが、周りからそのような言葉を聞くのは非常に励みになります。」

ライダーカップで共に戦った仲間達からもその強さは太鼓判のようだ。



Q:選手があなたのように活躍した後は、だいたいメディアが騒ぎ始めます。今後、ある程度ゴルフ界の顔になることや、PGAチャンピオンシップまで優勝候補の一人として話題の人になると思いますが平気ですか?

「私は自分がゴルフ界の顔だとは全く思っていません。私の主な焦点は良いゴルフをプレーすることであり、メディアのことは私次第ではありません。私がやることは次のトーナメントに向けてしっかり準備するだけです。今週の経験により、正しい方向性で多くの良いことをしていると確認でき、今後もそのやり方を続けていくことに自信が持てました。」

自分がいいプレーをし、その結果周りがなんと言おうとも、あまり気にならないと行ったスタンスのようだ。自分がコントロールできることとそうでないことの線引きが明確にされているようで、この若者の聡明さがうかがえる。



名前について

最後に皆さんが気になっているであろう、彼の名前の発音について触れておこう。

Ludvig Åberg

(スウェーデン読み)ルドヴィグ・オーバーグ
(アメリカ英語読み)ラドヴィグ・エイバーグ
(日本語読み)ルドビグ・オーベリ

とのこと。日本訛りの呼び方だと、海外では彼の名前だと認知してもらえないかもしれない。


名前の発音に関して本人が語っている動画があったので最後にご覧いただきたい。
https://m.youtube.com/watch?v=1bKHDey2YwY


もし彼がZOZOで来日することがあれば、「オーベリー」ではなく、ぜひ「オーバーグ」か「エイバーグ」で名前を呼んであげて欲しい。

彼の魅力は超正統派の美しいスイングと、長身、抜群のルックスだけではない。
インタビューからわかるフレンドリーな性格に、マスターズで見せた試合中も惜しみなくにこやかにファンサービスを行う様子から、彼がとんでもない人気者になることはゴルフファンなら誰もが感じているだろう。



TOP画;Ludvig Åberg公式インスタグラムより

参考動画:大会後インタビュー

最終日全ショット集:the Mastes公式YouTubeチャンネル[こちら


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