初めての妊娠
色々と順番が前後するが、私たちが人工授精の治療を始めて3回目。初めて妊娠に至ったことがある。
妊娠の兆候と症状
春の季節だった。生理予定日の少し前に腹痛があり、ああ明日から生理かな…と思っていた。しかし体温は高温期のまま。数日が経過したので少しフライングだけど検査薬を使ったら陽性だった。
それからは日々色んな症状が現れた。
徒歩15分の道のりで、貧血になり目の前が白くなる。生理痛のような痛みが続き、左足の付け根が引っ張られるような痛みもあった。少し歩くとお腹が張る。頭痛もひどい。まだわずかな日数なのに、着床するとこんなにも身体に変化が起きるのかと驚いた。
生理予定日から2週間が経ち、病院へ行く。「嚢胞(のうほう)が確認できる頃」とのことで、エコーで調べるが、嚢胞は確認できず。
先生は、嚢胞が確認できなかった場合、子宮外妊娠や科学的流産の可能性があるということだった。子宮外妊娠はとても危険で、今後の妊娠・出産にも関わる問題。科学的流産は、DNAの欠損などで成長できない卵であった場合に成長が止まり、流産するというもの。大きくなれば流産のための手術が必要だし、自然と出てくる場合もあるとのことだった。
ノンカフェインのコーヒーやお茶が飲めるお店も増えているが、まだないところもたくさんあった。ノンカフェインのコーヒーなんか意外と美味しくてびっくりした。
友達が「はつたま」をくれた。私よりも夫が熱心に読んでいた。
だんだんとムカつきも増え、妊娠を自覚するようになる。ゲップが止まらない。一方で、心音が確認できるタイミングでも確認できず、不安が募る。
祖父の死と受精卵の死
そしてその頃、祖父が死んだ。
大切な祖父。98まで頑張って生き抜いてくれたのに、ひ孫の姿を見せることができなかった。
何も言ってはこなかったけど、最後、母が祖父に「ひ孫ができたよ」と伝えたら笑っていたと言っていたので、ホッとさせてあげられたのかなとも思う。
祖父が死に、葬儀だけでなく、認知症の祖母の面倒をみるなど忙しい日々を過ごしていたころ。私は薄々気づいていた。体調が元に戻っていることに。
歩いても貧血にならない、お腹が張らない、胸のムカつきも、頭痛もあるときから消えていた。
一連のことが片付き、診察に行くと、嚢胞とリングは確認できるものの、その中に育っているはずの赤ちゃんの姿が確認できないという結果だった。
本来なら赤ちゃん事態が1.5センチ程度のはずが、私の場合はのう胞だけで1.5センチしかない。成長が止まっているとの診断だった。
これが今週中に自然に流れ出てしまえば良いのだが、そうならなかった場合、来週の診察を経て今月中に手術をしなければならないとのこと。
また、さらに、手術の際の経過によっては、妊娠よりも先に筋腫を切除しなければならないかもしれないとも。そうなったら次の妊娠は相当先になるんだろうと、新たに悩むことになった。
それと、なんとなく、心が空っぽになった。
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