見出し画像

長く使える良いものを選ぶ人ほど、ベビーグッズ選びは難しいんじゃないかという話

なぜベビーグッズは 大抵“ああいう感じ”なのか。子どものいる親はきっと何度か思ったことがあるんじゃないだろうか。ベビー服や育児アイテムを買いたいと思ってお店に行っても、素材、デザイン、機能、コストなど、しっくりとちょうど良く気に入るものがなかなか見つからない。

なぜ“ああいう感じ”なのか

グラフィックデザイナーやスタイリストなど見た目に拘る仕事をしている子持ちの友人と話すと、いつもこの話題になる。「赤ちゃんとかママ向けの商品ってなんでダサいの?!」「ホンマそれ!」「なぜそこに不要なクマちゃんを付けてしまうん?!」「ピンクとか青じゃなくてええねん! 普通に黒でええねん!」「装飾過多やねん!」と段々エキサイトしてしまうほど。

ひと通り不満を吐き出した後、なぜそうなってしまうのかを話し合う。「デザイナーがシックな案出してもどうせオッサンが『やっぱ女の子はピンクでしょ』とか『地味だからウサギとか付けなよ〜』とか言って却下してんじゃねーの?!」などと勝手な想像をしつつ、いつも最終的には“国内メーカーや量販店の品には期待できない”という非常に悲しい結論になってしまう。

世の中には素敵なベビーグッズは存在する。その“素敵”は人によって違うだろうけど、価格や機能、デザインなどがちょうど良いと思える物はきっとどこかに存在する筈なのだ。前項の悲しい結論は、逆に言えば“海外の高級なベビーブランド品はお洒落”ということになるが、違う、私たちが求めてるのはそういうことではないのだ。高いお金を出したりわざわざ百貨店や専門店に行かなくても、そこそこのお金を出せば手軽に手に入れられる素敵なベビーグッズを欲しているのだ。

普段通りのものの選び方ではうまくいかない

洋服や雑貨、家具、家電などベビーグッズ以外の身の回りの物、例えばテーブルを買いたいなと思った時どうやって選ぶか。まず廉価品から高級品、オーダー品までどんなものがあるのかなんとなくリサーチする。(お店に足を運んで実物を見ずとも正確な寸法まで分かるのだから、インターネットは本当に便利!)いいなと思うものがあれば、置き場所をあれこれ考えてみたり、周りの家具との相性を考えてみたり、そもそもテーブルではなくちゃぶ台ではどうかなどと想像してみたりする。そして予算と相談しつつ、ふたつみっつ候補を選び出したら、可能な限り店頭で実物を見て最終決定をするという具合。

30代も半ばになり、物を選ぶのもだいぶ上手くなってきたつもりだ。若い時は流行や他人の意見に左右されたりパッと気になったものを反射的に買って失敗したりしていたけど、ぼちぼち自分の好みが固まってきたから、こうやって時間をかけて長く使える良いものを選ぶようになった。
しかしベビーグッズに関してはこのやり方が通用しないのである。

1. 時間が無い

なぜ今までのやり方が通用しないかって、とにかく調べたり検討する時間が無いのだ! もしかしたら子育て経験の無い人は「そんなに時間無いの?」「スマホでぱぱっと調べたらいいじゃん」「こどもが寝てる間にやればいいのに」などと思うかもしれない。私も以前なら「スキマ時間を上手く使って……」などと理想論を語ってたかもしれない。しかし子育て中の自由時間というものは、大抵短く、しかもいつ中断させられるのか分からないものなのだ。

授乳中、私はよくツイッターを見ているがそれは真面目に読む必要の無い短い文章ならいつ中断しても問題ないからだ。もし集中して何かを読んだり調べたりしていても、赤ん坊が途中で口を離して母乳が飛んでしまったら拭かねばならないし、居心地が悪そうにしてたら抱き直してあげたいし、いつ飲み終わるかは赤ん坊次第だし、飲み終わったら次は速やかにゲップをさせなければならない。そして赤ん坊をおとなしく寝かせられるようになる頃には、「どこまでやったっけ?」どころか「ハテ何してたっけ?」となるのだ。

またこどもが寝ている時間は貴重な家事の時間であり自分の睡眠時間でもある。こどもがお昼寝している時間など、食器を洗ったり夕飯の準備をしたりおもちゃを片付けたりしているとあっという間に過ぎてしまい、やるべきことを片付けてやっとひと息つく頃にはウェ〜ンと目覚めの泣き声が聞こえてくる。たまに長時間寝てくれるサービスデーもあるにはあるが、それは結果であって、あらかじめ「今日は3時間寝てくれるからやりたいことができるぞ!」なんて分かるものではなく、起きて初めて「こんなに長く寝てるならアレもコレもやれば良かった〜」となるのだ。

2. 知識も経験も無い

ほとんどの人は、洋服や雑貨、家具、家電などはこれまでにも何度も選んで買ってきた経験があると思う。だからどこのブランドがいいだとか、どこのショップが品揃えがいいだとか知識の蓄積がある。それに「このシルエットのスカートは自分には似合わない」とか「家電は機能が多くても自分は結局使いこなせない」のような経験の蓄積もあるだろう。

ところがベビーグッズを買い慣れているという人はあまりいない筈だ。自分が親になって初めて「ベビービョルン」「リッチェル」「ピジョン」「赤ちゃん本舗」「ダッドウェイ」「コンビ肌着」「2wayオール」などのブランドやメーカー、ショップ、専門用語を知るのだ。(ちなみに私の夫はスタイがよだれかけのことだということも知らなかった。「この歳になってこんなに知らない分野があるとは」とも言っていた)

つまり、日ごろ知識や経験の蓄積に基づいてかしこく買い物している人ほど、ベビーグッズに関してはそれが無いので「あれ、どうやって選べばいいんだっけ?」と戸惑うことになるのだ。

3. 突然必要になる

時間が無いことと関連して、ベビーグッズは突然必要になるからじっくり検討してる期間が持てないことも多い。

どういうことかと言うと……例えば床に敷くクッションマット。決まった場所でねんねしていることしかできなかった赤ん坊が、いつしか寝返りをし、這い這いをし、気がつけばおすわりするようになる。すると、バランスを崩して倒れ頭をゴツンとぶつけるということがたびたび起きるようになる。その時になって初めて「今まで敷いていた布やプレイマットでは不十分! 広範囲に敷き詰められるジョイント型のクッションマットが必要だ!」と気付くのだ。

さあ悩んでいる暇はない、早く用意してあげないと、子どもの後頭部がたんこぶだらけになってしまう! 倒れても大丈夫な厚みと材質、そして部屋に合うような寸法と色柄のものを選びたい。しかし納得いくまでリサーチして現物をチェックしに店頭まで行く時間はない! 結局インターネットでいくらか検索して「まぁコレでいいか」とそこそこで妥協した品を配達してもらうことになる。

もちろん賢い人はあらかじめちゃんとリサーチして最適なものを選ぶことが出来るかもしれない。しかし大抵の場合、子どもが何カ月の頃に必要になるか、厚みや寸法などどんなものが必要か、その時になって初めて現実感を持って考えられるようになるんじゃないだろうか。

(ちなみにこのジョイントクッションマット、友人たちと話していて「なんで互い違いにする前提で2色セットで売るん?!」と不満がよく出るアイテムのひとつ。)

4. 長く使わないものにどこまでコストをかけるか

またそもそもの問題として、ベビーグッズは長く使うものではない。50cmの肌着なんて1〜2カ月しか着られないし、プレイマットも這い這いや掴まり立ちをしだす頃にはあまり使わなくなるし、対面型やフラット型のベビーカーも使用期間は半年程度じゃないかな。

子どもが使うアイテムだからもちろん質の良いものを選んであげたい。でも大人のものと違って”良いものを長く使い続ける”という訳にはいかない。最高級のものを選んであげても、あっという間に使わなくなってしまうのでは勿体無いと思ってしまう。

身につけるものや使うもの全てに高級品を選ぶことはできない。だから「生まれて最初に身につけるものだから、肌着は良いものにしよう」とか「抱っこ紐は長く使いたいから、奮発して肩の負担が少ないタイプにしよう」とか「にぎにぎは一瞬しか使わないから安いもので良いかな」とか自分なりにコストバランスを考えることが必要になるんだけど……。そもそも、「コレは使用期間が短くてコレは比較的長く使うもの」なんてことも最初は分からなくて、経験して初めて知ることなのである。

何が言いたいかというと

ここまで全部、お洒落な子育てライフ全然できてないけど仕方ないよねっていう諦めと言い訳です。

それと大変なりにいろいろ考えて物を選んだ経験が、誰かの何かの材料にちょっとでもなればいいなっていう、子育てグッズ選びの記事を書く理由でもあります。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?