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尾道浪漫旅

想像以上に混雑した車内に驚きを隠せなかった。
福山から備後赤坂、松永、東尾道と、電車に揺られえること20分。尾道駅へと到着した。
もちろん、尾道で下車する人がほとんど。狭いホームに身動きが取れないほどの人で溢れかえっていた。

尾道駅

尾道に到着した頃は、この日一雲が少なかった。
弾丸だったのであまり下調べをしておらず、どこから迎えばいいのか分からず。
とりあえず千光寺の方へとなんとなく進んでいく。


列の先頭を歩いており、謎のプレッシャーが半端なかった。
マジで知らないから着いてこないでほしいけど、違ってたら恥ずかしいから着いてきて……という意味わからない気持ち(笑)

待ってきたのは早速勾配な坂と階段。正午前になっていたのでかなり汗ばむ。
体力ある方なので、同行者を気遣いしなくていい一人旅には最適だとこの時思った。
周りは意外にも外国人だらけ、むしろ私しか日本人ではないのかと思うくらい。

階段を上り、最初に見えてきた景色。奥には向島へと繋がる尾道大橋が見えた。
既に泣きそうなくらい嬉しかった、尾道のこういう景色が見たかった。
歩きでしか見られない景色や達成感を味わえるのも旅の一つ。
道中の景色は今でも忘れられないくらい、この日見た中で一番美しかった。

15分ほど歩いて千光寺公園へと辿り着いた。
時間も進み、お花見をする家族連れやカップルが目立つ。出店が複数あったが、数年前はもっと沢山並んでいたとのことだ。
毎年ここへ来れる地元の人がとても羨ましい。

千光寺

千光寺へ到着。標高140m、眺めはもちろん良好。
少しだけ夏を感じるような、涼しげな雰囲気が印象的だった。
正面らしき場所の写真がなくて残念。

展望台から見たこの日史上最も標高が高い場所。桜が綺麗なこの時期に来てよかった。
嫌なこと、嬉しいこと、この瞬間だけは日々の感情を全て捨て、尾道と向き合った。もし人生選択ができるならば、広島県尾道市を自身の故郷にしたい。
尾道の方を羨ましく、そしてこの景色を見にこれた私の人生に誇りを持ちながら、尾道水道に背を向けた。

帰りはロープーウェイ

空からの景色も見たい、帰りは500円の課金。
一年ほど前に琵琶湖でロープーウェイに乗った時、支柱の揺れに恐怖心を覚えてトラウマになったことがあった。
だけどここのロープーウェイでは、浮遊感がそこまで感じられなかった。
それより景色に夢中で、あっという間に山麓に到着した。

乗り場付近にいた猫ちゃん。いい人生。



キツネ雨
可愛い船
商店街

久しぶりにクリームソーダを飲んだり、港の方へ散歩したり、商店街を歩いたり。
倉敷や岡山、高松などこの辺りには商店街が多く見られて羨ましい。
商店街が多く残る地域には、何か理由があるのだろうか。一度調べてみたい。



哀愁漂う写真が撮れた尾道市役所。曇り空が晴れないこの日大いに活躍したこのフィルムはDazzカメラのFZN Rというフィルター。最近お気に入りでよく使ってます。

尾道水道がよく見える尾道市役所の展望台。割と穴場スポットだったらしく、ほとんど人がいなかった。
奥に見える尾道大橋が、千光寺に向かう時よりも近く、大きく立派に見えた。




喫茶バラ屋
黄色…

バラ屋で遅めの昼食。尾道で一番好きな喫茶店になった。
落ち着きすぎて長時間滞在しました。
そして何度か撮り鉄に挑むも、なかなか黄色の115系とは出会えず。



再び桜を見に登っていくと、少し晴れ間が見えてきた。
何度見ても美しい、少しずつアングルを変えて見るのも楽しい。

尾道は私の勝手なイメージ、観光の穴場スポットだと思い込んでいた。
ゆえに人の多さに驚きました。そんな中、このように人っ気の全くない場所もあって……。急に私だけが取り残されたのではないかと思うくらい静寂だった。



尾道浪漫珈琲

実はこの日、何度かこの店の前を通り入店を試みた。しかし有名店であるゆえいつ通っても待ちが絶えなかった。
ラストチャンスの気持ちで、夕方16時半頃訪ねたらようやく待ちなしで入店できた。
もちろんホット一択。目の前で入れてくれたブレンドコーヒーはとても美味しかった。
知らない土地に訪れても、喫茶店に来ると私の知っている私と向き合えて妙に安心する。


駅に向かって歩いていると、何度も何度も振られていたこいつと巡りあえた…。
最後にもう一度、シャッターチャンスを狙って歩道橋へと向かった。

向こうから黄色の115系が走ってくるのを見てとても嬉しかった。
やっぱり山陽のこの電車が好きだ。毎日乗りたい。
次来た時は、横から撮影できますように。



時刻は17時を過ぎた頃。朝8時に名古屋を出たこの旅も終わりを迎える。
尾道の日常を、駅前に来ると体感できる。

この日何度も見た尾道水道と桜。そして尾道大橋とその向こうの向島。
目を離すのが辛かった。ずっと見ていたいしずっと感じていたい尾道の海風。

いつかまた逢いましょう その日までさよなら

非公開にしましたが、去年岡山と香川に行った時の旅行記にも書いた一フレーズ、
ポルノグラフィティのサウダージの歌詞。彼らもここ、現尾道市の出身。
瀬戸内へ来るときのBGMは決まってポルノグラフィティ。いつかその因島も通り、しまなみ海道を渡りたい。



福山へ戻り、岡山までさくら、岡山からのぞみで名古屋まで。
いつも東海道新幹線直通で乗っていたので、山陽新幹線の車両に乗るのは高校生振りだった。少し新鮮。

岡山で偶然にも隣になった50代の女性に声をかけられ、名古屋までの約一時間半いろいろな話で盛り上がった。
その方は広島の江田島に住んでおり、東京の娘の元へ向かう途中だったそう。
旅の話をメインに山陽の話を沢山聞くことができた。
旅行を趣味にしてて本当に良かった。服やコスメのように形には残らないけれど、自分自身の経験値を上げて、いろんな感性を身につけて、同世代とはひとつふたつ違う人生観があることは私の一番の取り柄なのかもしれない。
と、自分を客観的に見れた。


振り返って、尾道は閑静な町かと思えば、活気しかなかった。
新しいいろいろな感覚が未だ、残る。
桜を見たく、今日この時期に行くことになったが、尾道で四季を味わいたい。夏にも秋にも冬にも来たい。

きっと一度だけでは物足りない、尾道への浪漫はまだまだ続く。





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