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マティーニとの約束

家の近くのBarに行った。ずっと気になっていたお店だ。
初めて行くお店、しかも1人で行くなんてとても緊張した。

転職して半年、夫とは別居中。
転職とともに引越し、仕事は新しい挑戦。
仕事にも生活にも慣れる前に夫から離婚の話をされた。
私には有責がないにも関わらず、金銭の請求をされている。

とにかく疲れ果てていた。
6月から調停が始まる。でももうそんな気力も体力もない。
先日、お金をある程度払うから離婚して欲しいと弁護士を通じて通知した。
応じるということだったので、離婚届を記入して郵送してもらう。

私の人生で1番長く一緒にいた人。
嫌いになった訳じゃなく、感謝していることもある。
生きる方向が変わったというだけの話だ。
傷つけたり傷つけられたりもしたけれど、彼の幸せを願う。
どこまでお人好しなんだと自分に呆れながら
これからはずっとしたかったことのために生きようと思えた。

毎日意味もなく涙が溢れて
誰かに寄りかかりたい気持ちを抑えて
仕事に打ち込む日々。
かといって仕事がうまくいってる訳でもない。


今日はマティーニを飲むと決めていた。
夫とBarに行ってマティーニを飲んでいた時に離婚の話をされた。
ある意味思い出のお酒だ。

マティーニを飲むたびにあの時を思い出すなんて嫌だった。
だからマティーニを私の新たな門出の祝酒にするって決めたのだ。

早めの時間行ったがお客さんはすでに2組いた。
マスターと少し会話をするものの基本的に放っておいてくれるのが
気楽で居心地が良かった。

マティーニを頼むなんて大人になったもんだ。
これからは自分のために、自分の人生を生きる。
心に誓いながら味わう。
悲しみと怒りのようなもので心は震えている。

私は弱い。だけど自分に正直だ。
いつか笑い話にしよう、酒のつまみにしよう。


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