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私が医療業界で好きになれないところ〜入試不正を見て〜


以前から好きじゃない感があったけれど、最近頻回に思うようになってきた。
学問としての医学は嫌いじゃない。けれど、どうも医療業界が好きになれない。

私はただの学生で、まだ働いて支えている側になっていないから、おそらくこれは、一般の人の目線に近い方。

嫌なことは、大きく2つある。


1つ目は、高尚な自己犠牲精神を当然のように押し付けてくるところ。

厚労省のデータとかを見れば、現在の医療システムは明らかに sustainableではないのだけれど、それを維持することこそ素晴らしいという価値観があるように思える。(もちろん、日本の、低価格で質の高い医療をフリーアクセスで受けることができるという価値観は素晴らしい理想だと思っている。)

もっと正確に言えば、現在病気の人の健康を守るために、他のものが犠牲になってもやむなしという価値観が垣間見えている気がする。


2つ目は、医療がブラックボックスになっていて、他分野の人の価値観が入りにくい環境であること。
もちろんその高度な専門性ゆえに、ハードルは当然高くなる。非医療者からの勉強不足の指摘も確かに多い。

けれども、あまりにも倫理観がずれていると感じる瞬間がある。なんというか、自浄作用が失われている気がする。

それが問題として形になっているのが、今絶賛叩かれ中の東京医科大学の入試における問題、働き方改革にまつわる問題。

東京医科大学の受験問題とは、女子の入学を制限するために女子受験者を一律に減点していた問題。


確かに自分が受験したときを思い出すと、3浪以上が受かりにくいことや地元の人が優先されるといった情報はあって、入学者のデータなどで情報収集していた。ただ自分が男なのもあり、大学によって男女の割合に差があるのはデータで知っていたが、調整がかかっているのは知らなかった。

もちろん上のリンクにもあるように、男女の割合に差がある大学はたくさんあるので、不正はもっとたくさんの大学がしているだろう。


さて、私が許せないのは、それはしょうがないという意見が医療界側に多いこと。


妊娠出産などのライフイベントの際に、医療を維持するために男性医師にしわ寄せがかかることになるから、男性を増やそうとするのはしょうがない、というのが最もまともな意見。

ただこれは、どこまでいっても医療側の都合で、受験生には関係ない。
秘密裏にアンフェアな受験を実施することに対する論理的な説明とは到底言えない。

これは明らかに、そういうシステムで病院を運営している経営者の問題。
経営を学んでない医者がなぜか病院を運営していることの弊害は溢れるほどあるが、これもその1つだと思う。
(診療報酬など制度的にそうせざるをえない状況になっているのだとしたら、厚労省の問題)

それをなぜか1兵卒の医師がわりと同調しているのが信じられない。

「いや、変えろと声をあげる側じゃないの??」
っていうのが正直な感想。

この、医療を守るためには何かしらの犠牲(この場合は、点数は取れているのに何故か落とされる女学生)もやむなしという空気がとても嫌だ。


働き方に関してはこんな感じで進んでるよう。
もちろん日本全体の闇であって医療に限った話ではないですが、きっとこれも、まだまだ変わらないでしょう。


この2つ以外にも、医師に鬱が多いとか、地域の医療を守るために強制的に特定の地域に縛り付けるなど不合理がある。

医療の維持のために、多少医者が健康崩してもOK、地域枠でどこかの土地に縛り付けてもOK(その割には、病院を集約したりなどの効率化できていなかったりする)など、気づいてないだけでもっとあるだろう。

状況を緩和する方法はたくさんあるはずだが、現状を維持することにエネルギーを費やして、表面化している問題に対しては「○○だからしょうがない」と言っているだけに見える。

しわ寄せを受ける人には、医療者は他人に尽くすのが当然だという価値観で、黙らせているように思える。
それはただの1つの価値観で、何故人に押し付けるのだろう。

私はミッション系の中高に通っていたので、「人のために尽くすべき」という価値観を持っているが、これが当たり前だなんて思っていない。
(もちろんそういう価値観の人を受験で積極的に取っている、なんてこともなさそうだ)

なのに突然、「え、それが当たり前じゃん何言ってるの?」的な空気になっていく。
医療を志したんだから、当たり前でしょ、当然わかっているでしょ・・・と。

改善できる点が転がっているのにも関わらず、改善されていない今を許容し、自分の健康や近しい人の幸せをベットするのが当たり前なのだろうか。

この感じが、どうしようもなく、自分には合っていない気がするなと目の前が真っ暗になる。
または、働き始めたら自分もこうなるのだろうか。
私はこれからの世代に目を向けているから、若い人が蔑ろにされているような状況を許せないだけなのだろうか。

おかしいことは改善すべきで、しょうがないことではないはずなんだけれど。

もちろん、変えようともがいている人がたくさんいるのも知っている。
私も、そういう人がいる環境に行きたい。

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