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フィギュアスケートを愛することについて、1️⃣

メンタルぶっ壊した翌朝に書いてたものをベースにしています。最初期の話。


「みんなを愛したい」と涙が出そうなくらい思いました。じっと空を見ていると、だんだん空が変ってゆくのです。だんだん青味がかってゆくのです。ただ、溜息ばかりで、横になってしまいたくなりました。それから、いまほど木の葉や草が透明に、美しく見えたこともありません。そっと草に、さわってみました。美しく生きたいと思います。

──太宰治『女生徒』

まじ、これに尽きる。


2021/1、ユーリオンアイス経由で一瞬足を踏み入れました(親交のあるオタク友達が5〜6年ラトデニくんを推してるスケオタだった)。普段からジャンルに入るときできるだけ広く知ってみんなを愛したい、という理念があるので現役紹介などまとめられているのをさらっと読んで何人か覚えました〜。このときなんかピンときて最初に演技動画を見たのが後に超推しになるグラッスルさんです。ずっと執念く覚えていた。この年の世界選手権はフリー最終グループだけ見た気がします。ネイサン加点もりもりでヤバ😲鍵山くんめっちゃ楽しそう😲と思った記憶がうっすらあります……


2022/2、オリンピック始まってから日程を把握しました。ショートもフリーも後半だけ。去年から気になってた子いるかな?と思ってたらちょうど出てきたのでちょっと嬉しかったです。ショート見た段階ではまだ、前見た動画よりなんというか“長い”印象になってるな……って感じだったんですが、ちゃんと予定時間を調べて見たフリーで、完全に引きずり込まれてしまいました。特に中盤の、曲が変わるくらいの所で、時間が止まったような気がして…………マジでご飯食べる手が止まった。うまく言い表せないけど好き!!という気持ちがめちゃくちゃ巨大になってしまい……3G終了後のグリーンルームでもばっちりハート撃ち抜かれました、かわいいね、かわいいね……あと同世代の活躍(ゆまち含む)が、ほんと、サイコ〜〜じゃん!?と思いがちなので小躍りしてました!!
で、推しパワーで数日後とうとうインスタを始めました。しばらくグラち様だけフォローしてた。あれだけ馬鹿にしてたインスタ……あれだけ劣等感を持っていたインスタ……


その頃毎日すごく楽しくて、朝と帰宅後すぐインスタ見て、プロトコル印刷して授業中も眺めて、ユーロと五輪の演技見比べて……とやってました。五輪のインターステラー多い時で1日20回くらい見てた。当時がいちばん盲目で拗らせててヤバかったと思います。何も知らなかったし。


でもTwitterとかブログとかいろいろ漁り始めるとだんだん異変に気づくんですよね。既にツイ廃だったのでアカウント開設まで行ってなかったのが本当に幸いでした。SNS各地焼け野原みたいになってるし、あるブログではアンチが突っかかってくるからスケートの話するの怖い、みたいな話にまでなってるし、そろそろ気の狂ったオタクコミュニティが欲しくなってた私は焦りました、10年前の遺構で見かけたオタクは強く熱く狂っていて誇り高い界隈だった、怖くもイタくもなかったなあと思うと悲しくなってきて……それで荒んだままずっとインターネッツの海を深掘りし続けたんですよ、やめとけばいいのに 気づいたら1時半だし、寝付けないし、フィギュアのこと楽しい気持ちで考えられなくなってたし、もう無理!と思って録画引っ張り出してきてインターステラー吸引しました。ほぼ薬だった。6練終わってグループ第1滑走のグラち様がリンク大回りしてるとこでもう泣いてたし、位置についてちょっと膝触るのとか滑り出しの動作とかもほぼ覚えてました。4Lz着氷したとこでもまた泣いた。何回見ても時間止まってる気がするし、実況の「スピンの美しさは元々持っています」に勝手にハモってなんか感謝でいっぱいいっぱいになるし。全部さんざん見たものなのにぐちゃぐちゃに泣きながらまた3回見てさ(もう2時)なんで、ただ呑気にキスクラのせんせ〜の真似してハート作ってたときに戻れないんだろう、って思っちゃって、でもこの人は絶対、また素晴らしい滑りを見せてくれるなと期待したらちょっと救われた気がして、顔も洗わずに死ぬみたいに入眠しました。


翌朝寝不足とかのせいで酷いコンディションのまま学校行って、何も考えないようにしてただ座ってました。そうでもしないとまた泣いちゃうと思ったので……この界隈のヤバさが、スケオタ1年生にとって最大の壁かもしれない……と漠然と思いました。この前見たように楽しく騒いでいる人たちもきっといるんだろうけど、居心地が悪いというか全力で盛り上がれない空気になってるんだろうなあということに思い当たると、好きなものを好きに推せない世界があることが本当に悔しくて、つらくて、どうしてフィギュアスケートを好きになったからといって私が、みんなが、こんな思いをしなきゃいけないんだろうと深刻に悩みましたよ……(いざTwitterを始めてみると半分くらい杞憂だったこともわかるのですが)


もちろん今回の私のメンブレは自分の性質と照らし合わせて引き際を見定めるべきだったので私自身にも落ち度があるんですが、それでも見て見ぬふりができなかったんですよね……。好きになったもののことを知りたい、それどころか、“知る”ことしか愛し方を持っていなかったので。最終的にはこの文章を書くことで落ち着きを取り戻して、一旦の解決を見ました。私の中では。


この頃は本当に、ただグラち様を信奉していたんですが、フィギュアスケート全てを愛したい気持ちは最初からずっとあります。彼がうつくしく笑っている、そこに何があるのかを知りたかった。知らない方がただ楽しく見ていられるんだろうけど、知らなくていいと蓋をするのは彼の、氷の上の全てを愛したいという欲望から逃げることだと思いました。彼が長く脚を振り上げること、綺麗なスピン、頻繁にアテンションがついてしまうルッツ、揺れる前髪、そんなすべてがうつくしい人間であって好き。採点も完全に透明とは言えないし心無い言葉が浴びせられることもある、それでもシビアな氷の上に立ち続ける選手たちも。時に歪んだ、大きな愛を注ぐファンたちも。競技でありながら表現であること、衣装や音楽、そんなすべてのものが私の目にはうつくしく、それだからスケートが好き。
(最近では見ていてわかるよりもずっと技術の洗練が求められることもわかってきましたが、)芸術を採点する、または競技に美しさを求める歪な不細工さが好き。曖昧で不器用なこのスポーツを愛する人がいることが愛おしい。これを愛し支える人々のひとりでありたいと願っています。


今ではTwitterを始めて、ひたすら楽しく狂い続けるオタクのみんなと出会って、また感じ方が変わってきているのですが……何かきっかけがあれば書こうと思います。

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