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午前2時43分32秒

好きな曲を歌っていたバンドが、知らないうちにいなくなっていた。
たくさんの言葉を1曲にぎゅうぎゅうに詰め込んで、絞り出すような歌声と前へ前へと焦燥感を駆り立てるリズム、ゲインを効かせたサウンド 詳しいわけではないけれど 間違いなく 彼らの紡ぎだす音楽が好きだった。
「大切なものは失くしてから気付く」というけれど、失くしたことにすら気付けていなかったことがあまりにも寂しかった。

どうしようもなく苦しいときの一曲目は、決まって彼ら tetoの"pain pain pain"を聴く。

いつだって 償って 償って イキがって 報われなくて
いつだって満たされない 見つからない 見えない 会えない 有り得ないな
聞き飽きたことばかり言葉軽い物語
届かない だったら早くして心変わり

イントロはない 最初から全速力で走っていく叫ぶような歌声は、余裕なんてなく ただ感情を叫ぶように吐き出す様を映しているように感じる。
「ことばかり」と「言葉軽い」で韻を踏む部分 とても好きなの
tetoは他の曲でも韻を踏む歌詞が多いのだけれど、一番お気に入りかも。
報われない一方通行の「好き」なら、他の人のことを好きになったり いっそその人のことを嫌いになってしまえたらいいのに 思い通りにいかない自分の気持ちがたまらなく嫌なんだろうな
愛に見返りを求めてはいけないのかもしれないけれど、無意識に相手も同じ気持ちであってほしいと思っている部分は大いにあるわけで やっぱりお互いにとって必要で大切な存在であってほしいわけで 欲張りかもしれないけれど、人間が本能的に抱いてしまう至極当たり前の感情だと思う。
短いたった一行の歌詞だけど 胸がこう ぎゅっとなる

綺麗事でも 絵空事でも 他人事でも 何事でもなくて
何にも言えない後付けはやめて 傷が癒えない後付けはやめて
痛い痛い痛い痛い痛いなんて声が聞こえて
危機の音、聞こえないフリをしてしまって
冷凍食品の底とあなたへの愛が底を尽きた頃
不愛想ばっか振り撒くあたしは何だかいつか干されてしまいそう

思い出したかのように 付け足すように”好き”とかいう人いるけれど そういう後付けの言葉の方が傷つくんだよ、思ってもないくせに ただの慰めのつもりの言葉なら言わないで。なんてことも 面倒な女だと思われたくなくて きっと彼女は心にしまったままなのだろう
そんな思いをしまい続けた結果、心はもう限界で。危険信号を出しているのに まだ離れたくなくて 決壊寸前の心に自分は大丈夫だと言い聞かせて

好きになってくれないならもういいや と冷たくあしらって駆け引きをしてみようとして、でもそんなことをしたら本当に離れていってしまいそう。例えばさ、せめて好きな人から連絡来たら 嬉しくなってすぐ返してしまう癖とか やめたいよね、でもうまく駆け引きなんてできないよね、こちらばかり好きみたいで馬鹿らしいけれど 連絡来たら嬉しいし 沢山話したいし。あなたが私を好きじゃなくても、見切られない限り 干されないように必死なんですね こちらは。

明日からあなたなしで泣き出せないのは吐き出せないから
愛したから 新たな視で かわいいあたしは分かっているから

サビ冒頭の歌い方があまりにも悲痛な感じというか 叫んだって届かないのに喉が枯れるまで叫んでやるんだ、という感じがして苦しい
これは韻を踏みたかったがための歌詞なのかもしれないけれど、「愛してる」のではなく「愛した」なのがまた苦しい。「かわいいあたしは分かっているから」から後の歌い方も合わさって 別れに対する未練というより 諦めの気持ちが大きいような気すらしてくる。
でも そんなすぐに諦めってつかないと思う、今までこんなに大きな愛を1人で育ててきてしまったのだから。諦めたわけではなくて 自分に 諦めなきゃ、分かってるでしょ って言い聞かせているような気がする

ここまで書いておいてなんなんですが 歌詞の解釈を書く予定はありませんでした。もしかしたら、この曲を知らない人が 私の解釈を読んでその通りに曲を聴いてしまうかもしれないから

それでもこんなにがっつり書いてしまったのは やっぱりこの曲は私にとって支えであり これまでも今も実際にこの曲に救われているからだと思う。
気が向いたらでいいし なんか今ダメだ、って人がいたら 一度聴いてみてほしい
あくまでここに書いたのは私の解釈なので、先入観はもたず自由に聴いてみて。とても素敵なの曲なので、共有したかったの

冒頭で“いなくなっていた”と書いたけれど tetoはいなくなったわけではなく、現在は the dadadadys に名を変えて引き続き活動していらっしゃいます。ある時ふと思い立ってXのアカウントを見に行こうと思ったらtetoがいなくてびっくりしたけど、今でも音楽を続けてくれていることがとても嬉しいし なんと曲もそのまま引き継がれておりライブで聞けるらしい。よかった、よかった。

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