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東のエデンから見る2009年の世相【ゼロ研アドベントカレンダー】

そもそも東のエデンとは

 2009年に放送されたノイタミナ枠アニメ。ザ・ノイタミナという感じだ。アニメ全12話のあとに2部構成の映画がある。

 ストーリーを私の口から説明するとこんな感じだ。
 「この失われた20年の日本のどんよりとした空気をエグいほどのコミュ強がぶち壊す」というストーリーだ。このアニメからは世相がよくみられる。

リーマンショック

 2008年9月、リーマンショックが起こった。株価は大暴落し、円高が止まらず、ガソリン代は高騰。このアニメが放送された直後2009年9月に民主党政権が発足することになる。

 ノイタミナは経済が好きなのかもしれない。2011年には「C」とかいうアニメが出てくるわけだし。 

ニート

「ニート」最近死語になりつつないだろうか。最近は「無職」とか「シャフ」とかがトレンドワードになりつつあることだろう。
 このアニメではニートとしてのアイデンディティみたいなものだったり、ニートの底力(コンピュータ知識など)が随所に見られる。かつて「オタク」が虐げられていたがゆえにアイデンティティを持っていた時代だ。

携帯電話

 作中では携帯電話がかなり重要な要素として登場するのだが、スマホは一切登場しない。すべてガラケーだ。当時のガラケーはパカっとして回転するタイプとかいろいろなやつがあった。

 「東のエデン」というSNSのはしりのようなものが登場したが、そこに「SNS」という言葉は登場せず、あくまで「掲示板」であった。

 そして、「Skype」のようなものも登場した。よく考えたらあの頃Skype通話とか流行っていたかもしれない。

ドコモより

School Food Punishment

 解散したときは悲しかったなあ。本編edも映画op, edも担当。


どんよりした空気とぶち壊してくれそうな英雄

「うかつな月曜日」爆撃地のひとつ

 これはいつの時代も変わらない。「なにか祭りが起こらないかな」という人々の気持ち。この世界をだれかぶち壊してくれないかなという思い。

 まずこのアニメのサブタイトルが"この国の”空気”に戦いを挑んだひとりの男の子と、彼を見守った女の子のたった11日間の物語」"である。

 2008年、リーマンショック、2011年、東日本大震災、2020年、パンデミック。危機のように見えて、みんな実は心の奥底で待ち望んでいた。

 日本はバブル以降緩やかに衰退していった。なにも起こらなかった。せいぜいリーマンショックでたくさんの人が仕事を失ったくらい。

 みんなも正直待ち望んでただろ。なにかが起こる気がしただろう。

 この作品内でも、危機が人為的に起こされる。要はテロだ。主人公の滝沢朗はどちらかというとテロを防ぐ側だったのだが、あえてテロリストの濡れ衣を着ることでこの国の空気感を変えようとするのだ。

 主人公は「テロリスト」であり、「英雄」であり、この国の「王様」になった。

 実のところこの作品は、サイドキックとしてのヒロインの森美咲が置かれている。要は、「クッソイケメン有能男が英雄として日本を変える超カッコイイ」を見せ続ける作品でもある。

 この作品を視聴するときはあなたは森美咲となってこの男のかっこよさに惚れることになるだろう。滝沢朗は視聴者であるあなた自身の空気感を変えようとしている。

 現実世界において、滝沢朗は民主党政権であった。当時私は小学生であのときの選挙の記憶はないが、あれは現状打破のための祭だったんだろう。

どうでもいいけど、これのモノマネやるときは前傾姿勢を意識し、左足から右手にかけての直線を意識するのがコツ。

ここからは布教

ゼロ年代とかいうテーマは関係なしの布教

メッセージ性

若者に権力を渡していけというのはいつ頃から言われ出したことなのだろう。とにかく、この作品(特に映画版)ではこのメッセージが占める割合が大きい。

映画のラストシーンが印象的だ。すべての黒幕、タクシー運転手のジジイ「Mr.Outside」を「ボケてんじゃねえよ」とスリッパで引っぱたいたのち、こう言うのだ。「とりあえずこの交差点を右に曲がってくれ。」

この作品のテーマとして、「アガリを決め込んだおっさんから若者へ力を!!」というのがある。

 「右に」の解釈は悩んだ。作中で滝沢が右翼だったりとかはしないのだが、当時の若年ニートのインターネット世論は「保守速報」のような掲示板が乱立し、右よりだっただろう。

 とはいえ、本当に作中にあまり左翼右翼の概念が出てこない。出てくるとしてもマキャベリズムvs民主主義くらいだ。この発言の意味は単純に「東へ」という意味なのかもしれない。

 東はこの作品において「未来」とか「先」とか「楽園」のメタファーだ。

 なんなら作中で架空のセクトが成田空港闘争で使った東へ続く地下通路も登場する。その際に「こういったもんも、ワシらも積極的に受け継いでいかなきゃならんかったんかも」みたいな少し学生運動賛美とも取れるセリフもある。右とか左とかは関係なくて、とにかくこの作品において伝えたいことは「未来は若者の集合知で乗り越えていこう。一歩一歩着実に。」なのかもしれない。

12月26日追記:Twitterにて「右は英語のright(権利とか正しさ)なのでは」という指摘をいただきました。たしかに「正しさ」のセンはありそうですね。

個人的この作品の評価

・かっこいい男の演出の仕方が学べる。
・主人公が「コミュ強」だけで全て解決してしまうシンプルさが爽快。
・伏線のサスペンス感はいい。部分的に回収できてないけど。
・科学考証が足りなかったり、デウスエクスマキナが行われているのが玉に瑕。
・中学2年のときにハマってしまったので一生この作品は忘れないだろうと思う。

まあどう考えても見る価値はあるので見てください。よろしく。




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