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また人を好きになった。

まだ6月とは思えない暑さだった。
24歳の誕生日を少しすぎた頃、憶えのある感情がゴロゴロと音を立てて沸きやがった。
嫌な感じ。またかよ。

職場で知り合った僕より2歳若い子。
明るく元気なよく笑う子。好みだった。

僕の好意は分かりやすくあっという間に周囲にバレるほど。
もちろん本人にも伝わっていた。
でも好意を隠す気はなく、むしろ放出したかった。
うざがられても仕方ないと思った。

しかしそんな思いは杞憂だった。
それそれと仲良くなり二人きりで飲みにいくようにもなる。
とてもいい雰囲気になれているような気がして心を開ききった。

パッと気づけば関係を迫っていた。
いや、それが自然でやるべきことをやっているのかもしれない。
耳に入ってきた音は「ごめん」。
この心臓を握りつぶされるようなこの感じ。
感じたことがある。懐かしかった。
そして、苦しかった。ああこの感じ。

「やってしまった」

「もう恋なんてしない。」
そう誓ったはずなのに。
僕によって僕自身を「おひとりさま」で飼い慣らせていたのに。
全てが弾けた。

また人を好きになってしまった。

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