ひとりの部屋で
名もない座り方で座っていると、
それが一ぴきの猿のように思えてくる

猿山で産まれて、猿山で生き、
思い出したようにふっと見上げる

見上げはするけれども、猿山で生きる

のそのそと歩き、かゆいところを掻き、
気のままに座るのを、それを、
柵の外から見ていて、心が汗をかいてしまう


湯船に浸かる瞬間に、
ァァァーと声を発するようにしている

台詞がないと、人間でいられない気がした

「いただきます」とか「ごちそうさま」を
言うのがごはんで、言わないのがえさだ

潜る練習をする

小学校の頃を思い出す

息を吸い込む瞬間
まるでスポーツのようだと思う

身体の力を抜くのが上手くなった

上手に浮くと、生から離れられて良い


考え事をしながら髪を洗って、リンスを顔に塗る

まちがえるのも、いいもんだと思った

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