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急いでください、ツアーがはじまりました。-ReLOVE & RePEACEアルバム感想-

___ReLOVE & RePEACE の感想ブログを書く前にツアーが始まってしまいました。この感想は私が生きている限り生きているのでこれがどんどん変わっていくことが音楽と思考の楽しさだと思っているので、これはある種の備忘録なのかもしれませんね。

あいのうた
アルバム一曲目にはいつも異常に期待を寄せてしまう。高橋優の音楽を長く聴いている人あるあるかもしれない。それくらいアルバム曲の一曲目には信頼と実績があるのだ。今回だってそうだ。アルバムがリリースされる発表がされたとき、曲名が発表されたとき。手元にアルバムが届いて再生ボタンを押したとき。そんな異常な期待でいっぱいになった心と体を簡単にぶっ飛ばされた。力強いストロークの先に今この時を生きる高橋優という人間の内なるものを力一杯、吐き出してる。苦しいし悲しいし強いし弱いしどうでもいいしでも今この瞬間も自分は生きてるし。この曲はあまり余計なことを考えることなく本当にあたまに浮かんできた言葉たちを音符に乗せたような、そんな印象を持つ。これは今アルバム全体に言える事だけれど何度聞いてもその度に違う面が顔を出してくる。Re LOVE & Re PEACE という名前の付いたアルバムの一曲目に相応しいことこの上ない。

STAND BY ME‼︎‼︎
あいのうたとは打って変わって、一見こちらも何も考えてなさそうに思えて実は物凄い計算し尽くされた上で出来上がっているような気がする。耳障りのいい言葉の羅列、発音のいいヴォーカル、じっとしてと言われても無理なくらい無条件に気持ちと心が上がるメロディライン。こんなのライブで聴きたいに決まってる。拳を上げて、腕を振って。手を叩いて、跳んで跳ねて。煽られたら全力で応える自信しかない。ライブでこの音たちをどんなに進化させてくるのかが本当に楽しみだ。

HIGH FIVE
どうしても武道館公演の最後に初めて聞いたのでその印象が強い。今回のような強めな曲の中に入っても断固たる気迫と存在感を感じる曲。この曲を、この歌詞を、あの激動の世界を生きる中でどんな気持ちでどんな風にどう思って紡いでいったのか。想像するには大きすぎる。この先もずっとずっと歌い続けてこの想いを繋いでほしい。いつかこの時を「振り返って笑い合う時」が来ても。

勿忘草
アルバムの4曲目というのは所謂リード曲のような位置付けで、そのアルバムの核になるような曲を持ってくるのが主。それから考えればこのアルバムの核は「勿忘草」ということになる「人と人との繋がり」を歌うこの曲が核ということであればなんて高橋優らしいんだろうと、愛おしさに近い気持ちが湧いてくる。この曲もまた一生その真意には辿り着けないことを嘆きたくなるくらい聴けば聴くほど深く深く考えさせられる曲だ。物悲しくも力強くも温もりも冷たさもある…直接的に「何」と明言せず表現もしない、ただ聴く側に無限で無数の思考を与える言葉遣いの天才だと思う。この人は本当に「過去」と「未来」を一つにするのが上手だ。君がどこにいたって、いなくたって。僕らはずっと繋がってるんだよ。

I LIVE YOU
「I LOVE YOU」と「I LIVE YOU」「ライブ」のLIVEと「生きる」のLIVEをかけているんだ、と勝手に解釈をして結構しっくりきてる。アルバムツアーの一曲目とかだったらエモくて泣いてしまうかもしれない。何曲目にいても泣いてしまうと思っているけれど。生きること、生きてることの普遍さと不確定さ。大事なこと。直接会うことへの思いを強く持ってこのコロナ禍を歌い手として生きる高橋優からファンに向けて送られた決意表明みたいな曲だと。そんな彼が言う「いつかの「楽しい」の続きがしたい」「きっと会いにいく」「夢の中だけじゃなく将来も」「笑われるほど見つめ合おう」「声を聞かせてよ」こんなの、いつまで経っても気持ちが追いつかないに決まってる。

forever girl
おそらく聞いた人間全てを地に置いていった曲ではないだろうか。言葉は悪いが正直に言ってしまえば「意味不明」である。聞いた人たちが各々朧げで不確かな答えを出す。SNSで様々な憶測が飛び交う、あーでもないこーでもない。そうかも!いや違うだろ……みんながガヤガヤ悩んでいるこの様を歌っているのでは? とにかく7と8の間にあるForeverって一体何なんだという答えはツアーのMCでポロッと言う予定らしいので聴き逃すことのないように徹底して行きたい。あまり使いたくない言葉ではあるが分かり易く言えば「中毒性のある曲」

沈黙の合図
高野豆腐、東京うんこ哀愁歌に次ぐ「天才たちが大真面目にふざけてる曲」である。東京の小さなカフェの一角で繰り広げられる初対面の男女の小さくて微かなお話。話も顔も好きじゃないし苦痛すら感じているのに帰ったら一人で居るよりはと選択肢に「もう一軒」が加わる何とも言えない寂しさ。スマホ、ネット、マッチングアプリ…お手軽に後腐れなく一時の寂しさは紛らわせるけれど本心はこれでいいのかと自問自答が止まらない。あれ、こんなような曲前にもあったよな……2022年版「発明品」と呼ぶことにする。

氷の世界
高橋優の声は弦楽器によく合う。この曲でそれが最高に耳を喜ばせてくる。この音色は中国の二胡という楽器だろうか、これもツアーに行けばわかるか。この幻想的な音楽にのせて歌う歌詞がまたこの世界感をグンと広げていくよう。言葉遊びというか言葉選びというか、同じことの繰り返しになってしまうが聴く側の数だけそれぞれの「氷の世界」が作られるような作り方がされているように思う。私の氷の世界はまだまだ未完成だ。低音ハモリの低くて這うような声が、不穏で綺麗で心地良い。

ever since
アルバムのここに入るべくして生まれた曲のような気がした。流して聞いたときの氷の世界 ever since 雪の結晶 の流れが非常に良い。素直じゃない温かさ、普段だったら見逃してしまうような何気ない優しさ。今まで自分が貰ったもの全部を忘れないで、忘れたくない、忘れない、と強く思う。大人になればなるほど親との距離が離れれば離れるほど大きくなる曲。

雪の結晶
個人的にランキングを付けるとするなら現時点で今アルバム曲の中で1番だ。聴けば聞くほど雪に埋まっていくような不安にも似た高揚感に満たされてく。掴めるわけないあの人の真意に少しでも触れたいと思う。頑張って、がんばって、もう少し…というところでいつも「ただそれだけさ 人生なんか」と突き放され、綺麗に積もった雪の上に倒れて終わる。ずっとそれの繰り返し。ツアーで聴けたらもっと深く埋めてくれそうで楽しみにしている。

ピーナッツ
朝起きてカーテンを開けた先にある空みたい、朝のラジオ番組のOPみたい。いや実際そうなのだ。素人なのでこうやってクライアントから受けたイメージを壊すことなくイメージ通りに作れるの凄いなって思ってしまう、プロなのだから当たり前なんだろうけれど。その中にも自分の色をしっかり出してくるもの凄い、いやだからプロなので当たり前なんですよ。何を言いたいのかと言うとタカハイイズムが凄く感じられる曲だなと。ただの明るい爽やかな「いい曲」にしない、しっかりと誰かの心のどこかにある小さなささくれに引っ掛けるような言葉を散りばめて。あぁうまく表現できないのがもどかしい。この曲を聴いて高橋優というアーティストの未来がもっと楽しみになったということだけ残しておきたい。

piece
「あいのうた」で始まるRe LOVE & Re PEACEは「piece」で終わる。なんて素敵なんだ、こういうのは大好物だ白米をいただきたい。個人的に武道館で聴くまで全く刺さっていなくて武道館で聴いた曲の中で1番泣いた曲。これまでの話と未来の話の曲すぎる、と思ってたくさん泣いた記憶がそっくりそのまま思い出される。「思い出して大声で叫んだ日のこと」「理由なんてなくても笑い合えるよ」「世界中の笑顔が君をずっと待ってるよ」こんなに力強くて心強い「これから」の歌で終わるアルバムを、最高と言わずになんと言うのか私にはわからない。

このアルバムを抱きしめながらこの世界を歩いていることの心強さを伝えたい。最高の武器であり盾であり暖かいお布団のようなものでも雨を凌いでくれる大きな傘のようでも隣に座って話を聴いてくれる友達のようなものでもある。高橋優の歌とはそういうもののように思っている。このアルバムを聴いていたらそんな気持ちがより一層強くなった。良い意味で進化も感じた。リアルタイムシンガーソングライターが変わっていく姿を目の当たりに出来ているというこの何にも変え難い胸が高鳴るような気持ちを、それを受け取れるありがたみを。

今はただ、この生きた楽曲たちを生きた音で聴けるその日を楽しみにしている。

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