見出し画像

惹かれるモノ【Andrew Wyeth編】

ちなみにAndrew Wyethは以前から興味があった訳ではない、
自社ブランドの秋冬シーズンのインスピレーション源であることと、
しかも丁度のタイミングで展示会が行われていたので、
そこで感じたことをまとめてみる。


【Andrew Wyeth】
20世紀のアメリカの画家でアメリカン・リアリズムの代表的画家。
日本でも埼玉県に在る丸沼芸術の森にて保管されているワイエスの
習作などを用いて、各地で展示会が開かれている。



彼の代表作
『クリスティーナの世界』

私は彼や彼の作品についてまだ何も知らない時点でこの絵を見たとき、
怖いと感じたのを覚えている。


この壮大に広がる褐色の草原の奥に佇む小屋が、
そこに向かおうとしているであろう彼女にとってあまりにも遠い存在だからなのか。

それともこの女性のくすんだピンク色のドレスから覗く、
か弱く細い腕が必死に地面を捉えているからなのか。

怖いと感じた理由は分からないが決して明るくポジティブな作風とは捉えがたい、
そのやけに落ち着いたカラーパレットがやたらとリアルで印象に残った。


新宿の美術愛住館にて行われている展示会に行って感じたこと。

まずそこでは丸沼芸術の森で保管されている作品の中から、
オルソン・ハウス(先程の絵にも描かれている屋敷)にまつわる作品を中心に展示を行なっていた。

当時の状況や彼の心情など、所々に説明がついていたのはとても有難く、大きな展示という感じてはなかったが、こじんまりとした展示の空気感が心地いい感じ。



また見れてよかったと思うのが、彼の習作の数々。

アメリカでは完成していない段階の習作にあまり価値がないということだったが、
完成するまでの過程、色の付いていない下書きの状態を知れることはとても良かった。


名作クリスティーナの世界においても、彼は何度も腕や手首を念入りにスケッチしていることが分かった。
クリスティーナは身体が不自由だったそうで、麻痺があることからあのように地面を這って移動していたらしい。

しかも姿勢はクリスティーナをイメージしたものだが、
身体つきは妻のベッツィからで、髪の毛は叔母をイメージしたものとは驚き。

彼はオルセン・ハウスに住んでから数多くの作品を残している。
どれほどこの屋敷に魅力があったのか、とさらに興味が湧いてきた。

彼の父親もまた有名な画家だったとのことで、
売れる絵を描け、と教えてくる父親と
自由に描きたい息子、という関係性も興味深い。

事故で彼の父親が他界してから、
ワイエスの絵はリアリズムというジャンルにおいて完成形に近づいたと言われている。



私が最も惹かれた絵はこちら。

『Wind from the sea』

海からの風と名付けられたこの絵からは、平穏と安らぎが感じられる。

私が実際に見たのは完成したものではなく、習作だったが、
鉛筆で素早く殴り書きされたそれもまた魅力があった。

見ている時も、実際に自分が部屋の中に居て、
海の匂いの混じった風が入ってくるような感覚に陥った。


絵やモノ、アート的な作品を見て作家の心情を本当の意味で理解することは難しいが、以前書いたKaj Frank同様、Wyethもまた日常がリアルに想像できるという部分が私が惹かれた理由なのだと思う。


入場料500円だったし、行って良かったなあと。


ついでにポストカードを購入しました。


二枚ともオルセン・ハウスが描かれているもの。


ここで感じて学んだことを、うまく紹介できればいいなあと思います。


以上。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?