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続ける!毎日掌編小説。19回目『世界最強のコピー人間を倒したい』
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特殊能力を持っている人間は全人口の半数を超えた。
人の持つ力が増して、世界の均衡が崩壊されるものの、能力者が増えてきたことによって落ち着いてきた頃。何の前触れもなく最強の能力者が現れる。
その能力の名は、「コピー」他者の能力を完璧に真似て、使用することができる。ストック数は無限。
現時点での弱点は、コピーするためには相手に触れなければならない。そして、真似た能力の有効期限は1年間。1年間が過ぎると同じ能力はコピーできない。
しかし世界には能力者が溢れていた。似たような能力は無数にある。
コピー能力者を倒す術は皆無に近かった。
「ギャハハ!そんなんで本当に俺を倒せるのか?!さっきまでの威勢はどうした?ギャハハ!」
彼は独特に笑った。歯がギザギザで、鋭い目は緩み、頬が高揚していた。人の不幸を好み、他人の幸せを嫌う。表情や思想はまるで子供のような態度だが、こいつを甘くみては行けない。
「俺の夢は非能力者を全滅させること!そして、俺の王国を作る!」
そんなことが現実になってしまったら、きっとこの世界は終わる。間違いなく。罪もない人間を殺すこと、自由を奪うことを許しては行けない。我らはコピー人間を倒すため手を貸しあった。それほど彼がしてきたことは残忍で、人道に反していた。
最強能力者六人が一人、太陽を作る能力者との戦闘にて。
誰もが、コピーを倒せると考えた。コピー同様に気性が荒く、人を何千、何万と葬ってきた太陽の能力者ならコピーをも倒せると。
しかし、あっさりとコピーの能力発動条件である「触れる」を突破され、最も簡単に無数に作られた、手のひらサイズの太陽にやられた。
コピーは別の能力をストックすることができた。そのため、足を早くする能力など汎用性の高い能力を常にストックしていた。
最強能力者六人が一人の元二番目に強いとされている、竜を呼ぶ能力者。
彼女も戦った。彼女が呼ぶ竜は機動力が高く、簡単に触れることはできない。
コピー同様複数の戦闘手段を有していて、一筋縄では倒せまい。
が、今回もまた我々は敗れた。コピーの力は無限大、どんなに手を尽くしてもコピーを倒すことはできなかった。
そして、我々はコピーに敗北したと認めざるおえなかった。世界は移り変わり、混沌に満ちていった。どうしてこれほどまでに元は同じ人間であったコピー能力者がこれほどまでに非道なのか。皆願った。
「能力はもう入りません。だからどうか、コピーを止めてください」
血に染まっていく街並み、殺伐とした風。息をするとツンとしたものが鼻を貫抜くようだった。
あまりにも非力で弱い自分たちを嘆くことしかできない。自分の家族を守ることができない。そんな絶望が我々の心を蝕んだ。
ある日のこと、突如異変が起こる。あまりいい話ではない。
私たちの能力が消えたのだ。ついに戦う術すら無くした。
いや、これは!
コピー能力者は非力な赤子に戻っていた。
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