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おひとり様が安心できる準備

  1. 誰しも、おひとり様になる可能性
     「おひとり様」と言うと、生涯独身の人だけのように思う方がいるかもしれませんが、例えば、現在は夫婦2人で生活をしていてもどちらかが先に亡くなったり、子供をあてにしていたら海外赴任して帰ってこないとか、老年離婚など、ある日突然おひとり様になる可能性は誰にでもあるのです。
     「君子は治にいて乱を忘れず」と言います。今は1人でなくても、誰しもがおひとり様予備軍だという覚悟と準備は必要です。
     

  2. おひとり様になると困ること
     おひとり様になると、一番困ることは、体調が悪くなり入院する時や、高齢者施設に入居したいと思った時に、身元保証人や身元引受人を求められることです。
     身元保証人とは、例えば、本人が入院費や施設入居費(毎月かかる費用など)が払えなくなった場合に備えて、代わりに払ってくれる人を指します。
     一方、身元引受人とは、病院や施設で万一亡くなった場合に、身柄を引き受けてくれる人のことを指します。
     そう言う場合に備えて、家族・親族がいない場合でも、お金はかかりますが、専門の企業や信頼できる知人と「身元保証契約」をしておく方法があります。

  3. おひとり様は、親の介護をするのも大変 
     おひとり様は、一人で自分の両親の介護・看病をしなければなりません。幾らしんどくても、誰も助けてくれません。365日、24時間続きます。
     また、親を胃ろうなどのチューブ漬けにするか、食べられなくなったら餓死を待つのかの決断を医師から迫られます。自分のことでも悩むのに、別人格の親の意思が明確でなかったら、子が決断しなくてはなりません。どちらを選んでも「あの時こうしておけば」と、後悔する事にはなるでしょう。
     こういうことを避けるために、親にはせめて終末医療方針を確認しておきましょう。

  4. 自分が介護してもらう番になったらさらに大変
     もちろん、おひとり様は、自分が介護してもらう番になっても、誰も介護や看護をしてくれません。
     万一のその日に備えて、予め、認知症になっても追い出されない介護施設を見つけて契約しておいたり、在宅を希望されるなら、地域医療(訪問医師、訪問看護師、介護士、薬剤師、リハビリ施設など)の利用を前提に契約したり、地域包括ケアサポートセンターなどともつながっておく必要があります。

  5. 金銭面の不安も
     また、おひとり様は病気などで働けなくなっても誰も養ってくれないという金銭面の不安もあります。
     ただし、もし、自宅が持ち家なら、土地を担保に入れ利息だけを支払い、死後は銀行に土地処分させる前提で、まとまったお金を得るリバースモゲージや、土地を売却してまとまったお金を得て、そのまま家賃を払って住み続けるリースパックという制度があります。
     ただ、利息や家賃を支払えなくなると住み続けられませんので、寿命も踏まえた計画的な資金運用が必要になります。

  6. おひとり様は、死んだ後のことも準備が必要
     そして、おひとり様は、亡くなっても、葬式をしたりお墓に入れてくれる人もいません。
     確実に無縁墓になる現在のお墓は墓じまいして、自分の遺骨と一緒に合同墓や樹木葬、海洋散骨などを生前に契約しておく方法も検討しましょう。
     また、おひとり様は、自分が死んだ後の事務処理(死亡届、年金や健康保険の廃止手続き、持ち家の処分、銀行口座の諸々の処理、入院費、未払い入居費などの清算等)についても、死後事務委任契約をしておいた方が良いでしょう。

  7. おひとり様の財産は国が取ります 
     さらに、おひとり様の財産は、生前何も手助けしてくれなかった国庫に帰属します。
     こういう時も、お世話になった人への贈与、お世話になる病院や施設、大学、研究機関、盲導犬協会などに寄付するという方法があります。

  8. 大変なのはおとり様だけではないけれど、とにかく繋がりましょう 
     子供がいるのに一人で亡くなり、お葬式もなかったし、お墓も荒れて放置されているという話は時々あります。
     家督相続がなくなった現在、血縁だけで安心な時代ではないのですが、とりわけ、おひとり様は、とにかく色々な人と繋がっておくことが大切です。
     趣味や習い事でも構いませんし、疲れない頻度で簡単なアルバイトをしても良いと思います。
     出来れば、町内会や隣組といった距離的に近い近所にひとり、いざという時に頼み合える人を作っておくのがおすすめです。

  9. 周囲への声掛けも大切
     また、近くの地域包括ケアサポートセンターや訪問看護や訪問介護会社、交番、消防署に、「もしもの時にはお世話になるかも知れないので、お願いします」と、一言声をかけておくことも大切です。たとえ、契約していなくても、覚えて気にかけてくれる可能性はあります。
     何なら自分でおひとり様サポートNPOを作って、自分が利用者1号になるという方法もあり得ます。
     他には、あの上野千鶴子が知らない間に結婚していた様に、結婚という方法もありますが、どちらが先かは神のみぞ知るなので、対策にはならないかもしれません。

     当行政書士事務所では、他にもおひとり様に役立つ色々な情報を提供しています。

    ©️2023ようてんとなーたん

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