北国 真陽

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北国 真陽

Mapi Kitaguni's page / 小学生が夢中で読めるような純粋で面白くて温かい物語が好きです。

最近の記事

夜の魔法使い〜PART.1

~プロローグ~  あれは肌がじんわりとろけてしまうような、暑い夏の日のことだった。二人の少女の影がブランコの前に並ぶ。母親の手作りのワンピースが風に揺らぐ。 「あたしは好きよ。大好きよ。」 静かな住宅街に響くその声は乾いた砂漠にポツンと生まれたオアシスのようで、透き通って光り、消えた。 「私は、もう嫌になったの。」 一人の少女が夕日の赤く差し掛かったこの公園に背を向けて足早に去った。小さな細い足を速く、早く。残された少女は羊毛の様に柔く広がるその金髪を生温い風になびかせて、下

    • 物語が生まれる【エッセイ】

      こんにちは。北国陽真梨です。 この文章が誰かに届くのかどうか、まだ分からないけれどここに初めてエッセイというものを残そうと思います。 これは、私がこのnoteを始めて、文章を生み出そうと思った訳を書いた、私のひとりごとです。私のつぶやきに耳を傾けてくださる方がいらっしゃったら、とてもうれしく思います。  私はまだ学生です。私は、物語を作るということは昔から好きでした。小学生の頃は本当に飽きもせず文章を連ねていたものです(専ら冒険ものとか、魔法とか…)。一歩ずつ大人に近づく

      • やる気なし子ちゃん

         蒸し暑い夏の放課後。清掃当番だった私はじりじりと陽の射す外へ、昇降口を出て踏み入った。少し歩いただけでも肌に服がべたべたとこびりつくような感覚だった。私は汗でずり落ちる眼鏡を人差し指で押し上げながらぱんぱんに詰まったごみ袋を片手に歩いて行った。教室掃除を一通り終わらせた後は誰かがごみ箱にあるごみを捨てるのが決まりだった。誰もそんな役目をやりたがらなかったので私は自ら立候補してごみ袋をひっつかんできた。そうして向かった先は教室のある一号棟から少し離れたところにあるごみ捨て場だ

      夜の魔法使い〜PART.1