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タロットの著作権について

タロットの著作権について、度々話題になっているのを見かけます。

わたしも「普通にSNSに画像上げてるし、タロットリーディングの販売予定もあるんだけど、本当に大丈夫なんだろうか?」と疑問を抱いたので、今年の3月下旬(占い師活動前)に各所にお問い合わせをしてみました。
様々なパターンがありましたので、わたしが所持しているタロットを例に挙げつつ書いていこうと思います。


そもそも著作権とは?

「著作権」とは、「著作物」を創作した者(「著作者」)に与えられる、自分が創作した著作物を無断でコピーされたり、インターネットで利用されない権利です。他人がその著作物を利用したいといってきたときは、権利が制限されているいくつかの場合を除き、条件をつけて利用を許可したり、利用を拒否したりできます。

公益社団法人著作権情報センターCRICより引用

①著作権が切れているものの場合

手持ちの例:The Rider Tarot Deck (U.S. Games Systems社)

著作権法は、著作者の権利を定め著作物を保護する一方で、一定期間を経過した後は権利を消滅させ、著作物を社会全体の共有物と位置づけ(このことを「パブリック・ドメイン」といいます)、誰でも自由に利用することができるようにしています。

公益社団法人著作権情報センターCRICより引用

ウェイト版タロットはイギリスで販売されてから100年以上経過しており、著作物としての保護期間が終了しているため、絵柄がパブリックドメインになっています。
つまり絵柄に関しては「誰もが自由に使用していい」状態です。

2023 11/25 追記

コメントで「U.S. Games Systems社から出版されているタロットは、商業利用する場合、作家さんによっては有償での許可になる」というご指摘をいただきました。
わたしの手持ちのThe Rider Tarot DeckがU.S. Games Systems社のものだったので調べてみたところ、U.S. Games Systems社はこのThe Rider Tarot Deckをアメリカで商標登録しているようです。サイト内のImage Reproduction & Usageを確認してみると、

弊社製品の画像やコンテンツを使用したい場合は、弊社からの許可が必要です。当サイトの一部のデッキは配布されているもののため、出版社に連絡する必要があります。
使用許可の申請は、記入可能なオンラインフォームまたは書面でのみ受け付けています。その際、使用したいデッキと素材、使用方法とプロジェクトの詳細を必ず明記してください。

Image Reproduction & Usageより引用

とのことでした。ウェイト版タロットの絵柄でも使用許可を取る必要がある……?
しかしもう少し調べてみると、

・U.S. Games Systems社がThe Rider Tarot Deckを商標登録したのはあくまでアメリカでの話。国ごとに法律が異なっているため商標権が国をまたぐことはない
・カードの装丁についてはU.S. Games Systems社に著作権があるがウェイト版タロットの絵柄そのものの著作権は認められないのではないか?

つまり「自由に使用して問題ないのでは?」という見解もあるようです。

また、パブリック・ドメイン収集家の方がU.S. Games Systems社の主張・根拠に対し法に照らし合わせて反論を述べているサイトがあるそうで、こちらをDeepL翻訳を使用して読んできました。

わたし個人の感想としては「U.S. Games Systems社の主張よりもパブリックドメイン収集家の方の意見のほうが筋が通っているように思う=自由に使用して問題ない、という認識でいいのではないか?」という結論に達しています。

こちらのサイトを参考にさせていただきました。ありがとうございます。

②出版元が国内の場合

手持ちに……いない……!!!
調べてみたところ、ライトワークスさんが「弊社出版物に著作権に関するガイドライン」を載せてくださっていました。

そこで使用が問題ないものとしてあげられているのが、

・ブログでの公開
・動画での公開
・SNSへの投稿
・リーディングの提供

とのことでした。

魔法使いアリッサさんが「占いのカードの著作権&利用ガイドラインまとめ。」を書いてくださっているので、国内で販売されているタロットや各種カードを使用されている方はこちらも参考になると思います。

③出版元が海外の場合

手持ちの例:Tarot de carlotydesShadowscapes Tarot

この2つのタロットは出版元が同じ、Llewellyn Worldwideという会社です。
「数多くのタロットやオラクルを販売している会社なので絶対に規則があるはず」と思い探していたら、Tarot Card Image Permissionsというページにたどり着きました。

COPYRIGHTED TAROT CARD IMAGE REPRODUCTION AND USE GUIDELINESと書いてあったので間違いなくここだと確信し、一読。
ものすごくざっくりと翻訳したものを書きます。全文英語ですが、お手持ちのデッキがこちらのものであればぜひご自身でページに飛んで読んでいただきたいです。

【無料で使用してもいい場合】
*適切にクレジットを表記すること
*各デッキにおいて25枚以内の使用に限定する
・タロットのレビューをするとき
・タロットの宣伝をするとき
・個人で行ったリーディングの結果を説明するためにタロット画像を表示するとき
・無料でタロットの講座をするとき(商業的な側面を持たず、リーディングの側面を含まない場合)

Tarot Card Image Permissionsより引用、翻訳

各デッキにおいて25枚以内ならOK、つまりLlewellyn Worldwideさんから出ているタロットで「カレンダースプレッド(カードを28~31枚使用)」を展開するときはSNSに写真をあげないほうがよさそうです。わたしも一度あげてしまっていたので削除しました。この記事を書くために読み直してきてよかったです。

「リーディングの側面を含まない」というのが難しかったのですが、つまり「タロットそのものの勉強(例:大アルカナについて学ぶ)」をするためであれば大丈夫なのかなと思います。
もし英語の認識が間違っているようでしたら教えていただけると非常に助かります。

【承認が必要な場合】
・タロットを印刷して使用するとき
・作成したアプリ内でタロット画像を表示したいとき
・映画やテレビ、広告などにタロット画像を使用したいとき
・有料でタロットの講座を行う、もしくは有料で販売する教材にタロットの画像を掲載するとき

Tarot Card Image Permissionsより引用、翻訳

わたしは当時占い師に"なろうとしていた"段階で、タロットリーディングを「販売」"しようとしていた"ところでした。
これが有料での販売に含まれるのか、個人のリーディングの範囲内なのか自分で判断ができなかったので、

「わたしは今後占い師として活動予定です。日本のココナラというスキル販売サイトでタロットリーディングを販売する予定なのですが、貴社のタロットを使ってもいいですか?」

というお問い合わせメールを送りました。

「Just provide credit for the decks you use.(使用した際にクレジットを記載するのであれば大丈夫です)」

という簡潔なお返事がきました。15分くらいで。ありがたや。

やりとりの文章はほぼすべてDeepL翻訳に頼りました。丁寧に書けばちゃんと伝わるので怖がらなくて大丈夫!

②でライトワークスさんのガイドラインを載せましたが、リーディングの提供の項目の中に

料金はリーディングという「技術・サービス」に対して発生したものであり、弊社発行製品そのものの商用利用という判断とはなりません。

ライトワークス「弊社出版物に著作権に関するガイドライン」より引用

と書かれていたので、Llewellyn Worldwideさんもここは同様の認識なのかもしれません。

④個人出版(国内)の場合

例:mamanmiyukiタロット

mamanmiyukiさんはminneでタロットを販売されており、そのページに使用の際の注意が記載されています。
以下に引用させていただきます。

*タロットの画像の使用について*
「mamanmiyuki(ママンミユキ)タロット」を購入いただき、購入したタロットを使用している画像などを、ブログやHP、ツイッター、フェイスブックなどに掲載したい・・・という場合や、このショップで掲載している画像を紹介で使用したい場合、有料のタロット占いの鑑定の説明のために展開したタロットの画像を依頼者にお渡しする場合には、「mamanmiyuki(ママンミユキ)タロット」を使用しているということを画像や説明文のどこかに入れていただければ、ご自由に使っていただいてかまいません。 イベントや講座などでもタロットをご自由に使用していただいてかまいませんが、画像のテキストなどでの使用につきましては、その都度メッセージにてお問い合わせください。

mamanmiyukiさんの販売ページより引用

念のため購入時に「タロットリーディングを販売しているのですが、使用しても大丈夫ですか?」とお伺いしたところ、クレジットを記載することを前提に快くOKをくださいました。

製作者さんがSNSをやっていらっしゃる方であれば、そちらでお問い合わせしてみるのもいいかもしれません。

⑤個人出版(海外)の場合

例:Mystic Dreams' Advanced TarotTHE STAR SEEKER TAROT

Etsyなどで販売されているクリエイターさんのタロットやオラクルの多くがこちらに当てはまると思います。
著作権に関する規則が販売ページのどこにも記載されていない状態です。

こちらについては、実は現在もお問い合わせを行っている最中です。

③で読んだTarot Card Image Permissionsを貼り付け、

・あなたの販売しているタロットにこのような規則はありますか?
・タロットリーディングの販売に許可をいただけますか?

という内容でお送りしましたが、まだ回答をいただけていません。
いつお返事が来るかなあ、と待っている状態です。

2024 1/5 追記

THE STAR SEEKER TAROTのクリエイターさんからお返事をいただきました……!!!届いてた~~~嬉しい~~~!!!

It is OK to use the deck for the readings you sell as long as you credit the deck where possible.

問い合わせに対する返信から一部引用

とのことです。クレジットを表記しておけば大丈夫とのことで、これで心置きなく使うことができます!!

*****

というわけで、「お手持ちのタロットの出版社・製作者を調べてサイトや販売ページを確認してみる、わからなかったらお問い合わせして許可をいただく」という手順を踏むのがいちばん安心・安全なのではないかなと。
面倒だなと思う方もいらっしゃるかと思いますが、このひと手間がタロットを気兼ねなく使うための第一歩なのではないでしょうか。

⑤に関しては何かアップデートの連絡がきたら追記をする予定です。現時点で「この件どうなってますか?」と訊き続けて半年以上経っていますが焦らず待ちたいと思います。
タロットを愛するみなさまの参考になりましたら幸いです。

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