いろいろな解の公式とその派生
今回は方程式の解の公式をいろいろ紹介していきます。また、その公式から派生したものも紹介していきます。
1次方程式
まずは1次方程式ですが、これは移項さえできれば変なことしなくても導出できます。(もはや公式といっていいものか…)
$$
ax+b=c (a\neq0)のとき、x=\frac{c-b}{a}
$$
一応導出を書いておきます。ただの定数項の移項だけで導出できます。
$${ax+b=c (a\neq0)}$$
$${ax=c-b}$$
$${a\neq0より、x=\frac{c-b}{a}}$$
連立方程式(2元1次)
これはクラメルの公式というものですが、あまり有名なものではないと思います。しかし1発でx,yともに解が求められるので覚えてしまえばとても便利です。
$$
\begin{cases}ax+by=p\\cx+dy=q\end{cases} の解は、x=\frac{pd-bq}{ad-bc},y=\frac{aq-pc}{ad-bc} (ad-bc\neq0)
$$
これの導出ですが、本来は高校数学の行列という考え方を使います。しかし、今回は中学数学で習う連立方程式の解き方の考え方を用いた2元1次連立方程式限定の簡単なものにします。やることは基本的に先ほどの1次方程式の応用です。
$$
\begin{cases}ax+by=p …①\\cx+dy=q …②\end{cases}とおく。
$$
まずは②の式をxについて解く。
$${cx+dy=q}$$
$${cx=p-dy}$$
$${x=\frac{p-dy}{c}}$$
これを①の式のxに代入すると、
$${\frac{a(q-dy)}{c}+by=p}$$
$${a(q-dy)+bcy=cp}$$
$${aq-ady+bcy=cp}$$
$${-(ad-bc)y=cp-aq}$$
$${y=\frac{aq-pc}{ad-bc}}$$
yの値が出たので、今度はこれを①の式に代入すると、
$${ax+\frac{b(aq-pc)}{ad-bc}=p}$$
$${a(ad-bc)x+abq-bpc=adp-bpc}$$
$${a(ad-bc)x=adp-bpc-abq+bpc}$$
$${a(ad-bc)x=a(pd-bq)}$$
$${x=\frac{pd-bq}{ad-bc}}$$
よって、$${x=\frac{pd-bq}{ad-bc},y=\frac{aq-pc}{ad-bc}}$$
連立方程式を代入法で解いているだけなのであまり難しいことはしていません。
2次方程式
通常の解の公式
まずは学校で習う普通の解の公式です。
$$
ax^2+bx+c=0 (a\neq0) のとき、x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
$$
次に導出です。ここでは平方完成を利用したものにします。
$${ax^2+bx+c=0}$$
$${a(x^2+\frac{b}{a}x)+c=0}$$
$${a\{x^2+2\times\frac{b}{2a}x+(\frac{b}{2a})^2-(\frac{b}{2a})^2\}+c=0}$$
$${a\{(x+\frac{b}{2a})^2-\frac{b^2}{4a^2}\}+c=0}$$
$${a(x+\frac{b}{2a})^2-\frac{b^2}{4a}+\frac{4ac}{4a}=0}$$
$${a(x+\frac{b}{2a})^2=\frac{b^2-4ac}{4a}}$$
$${(x+\frac{b}{2a})^2=\frac{b^2-4ac}{4a^2}}$$
$${x+\frac{b}{2a}=\pm\sqrt{\frac{b^2-4ac}{4a^2}}}$$
$${x=\frac{-b}{2a}\pm\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}}$$
$${x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}}$$
1次の項が偶数の場合
次にちょっと特殊ですが解の公式の約分をなるべく避ける公式です。計算ミスが格段に減るので覚えていて損はないかと思います。
$$
ax^2+2b'x+c=0(a\neq0)のとき、x=\frac{-b'\pm\sqrt{b'^2-ac}}{a}
$$
これの導出は解の公式に2b'を代入するだけです。
$${x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}}$$
$${x=\frac{-(2b')\pm\sqrt{(2b')^2-4ac}}{2a}}$$
$${x=\frac{-2b'\pm\sqrt{4(b'^2-ac)}}{2a}}$$
$${x=\frac{-2b'\pm2\sqrt{b^2-ac}}{2a}}$$
$${x=\frac{-b'\pm\sqrt{b'^2-ac}}{a}}$$
(ax+b)²=c の場合
次に平方根の利用をして計算をするパターンの解の公式です。
$$
(ax+b)^2=c (a\neq0)のとき、x=-\frac{b\pm\sqrt{c}}{a}
$$
導出ですが、これは両辺の平方根をとって移項するだけです。
$${(ax+b)^2=c}$$
$${ax+b=\pm\sqrt{c}}$$
$${ax=-b\pm\sqrt{c}}$$
$${x=\frac{-b\pm\sqrt{c}}{a}}$$
$${x=\frac{-(b\pm\sqrt{c})}{a}}$$
$${x=-\frac{b\pm\sqrt{c}}{a}}$$
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