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新型コロナ【エアロゾル感染】マスクの効果は?

 日本の感染研でもようやくエアロゾル感染が認められたようで、さっそくSNSでも話題となっていますね。
 マスク効果は絶大!とか、マスクは無意味!など、極端な意見が多く飛び交っていて、つい笑ってしまいます。皆さん、いったい何と戦っているんだろう。

 東大のマスクフィルター実験論文やら、電子タバコの煙がルーズフィットマスクの隙間から全漏れの動画とか、過去に見飽きた情報がここに来て再燃しています。中には2年も前のWHO発信(すでに訂正された)情報を掲載してドヤる猛者()も居て、情報アップデートしないのかなと少し寂しい気持ちにもなりました。

 特に「マスク意味ない」は極端だなと感じます。マスクの繊維を通過するサイズのエアロゾルがどれほどのウイルス量を含んでいるというのか。そして、「呼気由来」と「発声由来」、同じサイズのエアロゾルだとしても、含まれるウイルス量は全く違いますよね。
 この辺の解釈がゼロ百論になってしまうと、「マスク意味ない」と思い至ってしまう可能性が高いのかも。


 マスクの効果は、出す側も吸う側も「ウイルス量を減らす」という観点では効果が高いと思っているのですが、その材質や着用方法によっては逆効果ともなりうるので注意が必要と思います。特にエアロゾル環境下では即感染するほどのウイルス量には至りにくい反面、その空間に長居したり、隙間だらけの不織布マスクで深く呼吸したりすることで、感染に至る量を吸引してしまうこともありえます。
 世間ではとかくフィルター性能に着目されがちですが、フィルター性能が高ければ高いほど、隙間からの流入量が増えるということをもっと周知したほうが良いのではないでしょうか。

 フィルター(透過阻害)性能で言えば、ウレタン→布→不織布→N95と上がっていくわけですが、フィルター性能が上がるということは、空気はフィルターのない隙間から抜けようとするわけで。(流体力学を学ぼう)
 たとえば、不織布マスクやN95マスクのルーズフィットと、隙間をなくした簡易不織布入り布マスク、どちらが効果が高いかイメージしてみてください。不織布やN95はフィルター性能の高さ故に、隙間があると100%隙間から空気が行き来します。それに比べて、フィットしやすい布マスクであれば、フィルター効果こそ劣るものの、フィルター越しの呼吸が可能です(エアロゾルだって水分を含むので、繊維への吸着効果も見込めます)。風の谷のマスクなら、自分の呼気を半分ほど再利用するため、さらに効果アップ(息苦しいけど)。

 吸入するウイルス量を減らしたいのであれば、マスクは材質問わず隙間なく着けるのがベストですが、素人着用故にどうしても隙間のできやすい不織布やN95では、エアロゾル感染を防ぐどころか逆効果ということになりかねません。
(実際、N95や不織布マスクを完全フィットして着けられている人ってほぼ居ないと思う)
 不織布マスクしてたのに感染した!という人がオミクロン株で増えているようですが、つまりそういうことではないでしょうか。 

 そうそう、最近流行りのKF94マスク。呼吸が楽と有名ですが、小鼻横と顎下をぴったり塞いでみてください。特に顎下を密着させると、一気に息苦しくなります。KF94は不織布と比べてさらにフィルター性能が高いため、緩い素人着用ではほとんどの空気はフィルターを通ることは無いでしょう。つまり、一見優秀なこのマスクも緩い着用では隙間から空気が行き来しているということ。


 エアロゾルはほぼ空気。マスク着用故に呼吸が深くなり、その分隙間から勢いよく入ってきます。下手したらノーマスク浅呼吸のほうがマシかもですね。
 病院や閉鎖空間などでフィルター性能の高いマスクを使用する場合は、逆効果にならないよう、隙間をしっかり塞ぎましょう。
 出す量と吸う量を適度に減らす(ゼロは無理)という観点で、通常の屋内環境であれば、私は布マスクが丁度よいと思っています。(なんならアベノマスクでも良いのでは)

 ま、エアロゾルに含まれるウイルス量は通常飛沫と比べて極めて少量なので、長居や隙間流入で大量に喰らわなければ、感染しても「ただの風邪」で終わっていくでしょう。
 そうやって気付かないうちにウイルスを保有して、免疫弱者の方たちに移さないよう気をつけないとですね。

 世界はウィズコロナへシフト~の失敗をこれまで何度も繰り返しています。日本は失敗無しのウィズコロナを実現させるために、「曝露量」と「空間飛沫量」の概念をしっかり周知してもらえるとありがたいです。 


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