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新型コロナ【マスクの流体力学】フィルター性能を過信しない
以前より懸念事項として挙げている「不織布マスク万歳な世間」について物申したく、ひとつの研究成果を提示してみる。
【マスクの流体力学】
https://www.hpci-office.jp/invite2/documents2/ws_cae_210312_iida.pdf
この研究資料は豊橋技術科学大学の飯田明由教授が提示したもので、富岳などのスパコンを利用して多くの専門家が実験した結果を踏まえ、流体力学の観点からマスク効果を検証したものだ。(「マスク 流体力学」の検索結果でトップに出てきた)
結論は下記のとおり。
・COVID-19の感染拡大を抑制する上でマスクは有効な手段である
・当初考えられていた以上に感染を予防する効果もある
・マスクの性能はフィルタ―性能と必ずしも一致しない
・マスクを適切に着用することが大切
・性能が向上すると息苦しくなる(血中酸素飽和濃度低下:無理しない)
・その時々の状況に応じて使い分ける
・マスクしていない人を注意するその声のほうが危険
以前、こんな記事を書きました。
この記事でも記載したとおり、流体力学の観点からすると、フィルターが高性能なほど吐くときよりも吸うときの方が「隙間から空気が行き来しやすい」わけで、「不織布マスクしてるから大丈夫!」と思っている人は、一度着用方法を見直したほうがいい。
◆ 装着方法
不織布マスクでも普通の呼吸ができている人の吸う空気はほぼフィルターを通っていない。おそらくはほとんどの人が装着方法を間違っている。
不織布マスクは確かにフィルター性能が高く、ちゃんと装着していればそれなりの効果を発揮するわけだが、隙間が大きいと呼吸が楽な分、隙間から大量の空気が入ってくるということで、いくら性能の良いフィルターを着けていても、空気の動線が他にあれば性能は半減してしまうのだ。
![マスク着け方](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/59273136/picture_pc_fea743189c43665ffcc1b3caf6a91acd.jpg)
◆ フィルター性能
あともう一つ気になる実験結果として、「フィルター性能」が挙げられる。不織布マスクにも様々な種類があるが、一部の不織布マスクはウレタンマスクよりもフィルター性能が低いという衝撃的な結果が出ている。
見た目ではフィルター性能までわからないのだから、「ウレタンマスク」着用者を卑下する流れも止めたほうが良いと思う。不織布かどうかではなく、必要な時に適切に着けているかどうかの方が重要なのではないだろうか。
そして、フィルター性能が高ければ高いほど、隙間があればそこからほとんどの空気が入ってくるということを忘れてはならない。
さらに、隙間から侵入したエアロゾルはその速い侵入速度のまま一気に肺に到達することもお忘れなく。(流体力学を学ぼう)
※「吸引速度」は吸引力が同じであればそのメインルートの口径が狭いほど速くなるもので
◆ 二重マスク(非推奨)
「我々自身は、マスクを重ねることの効果は流体力学的に意味がないとわかっていたんですね。1枚をちゃんとフィットすることを考えていればそれでいい。」
(神戸大学・坪倉誠教授)
とのこと。不織布はやはり隙間ができやすいというのがネックか。
布×ウレタン、布×布、ウレタン×ウレタン 等の2重はそれぞれ1重より効果ありそう。
あと関係ないけど、昨年配られたアベノマスク、かなりバカにされてきたけど、あれ、流体力学に加えて水分吸着効果を考慮したら、「ノーマスクより全然マシだから」と言える。(※飛沫もエアロゾルも水分であり、綿・ポリエステルなど素材に関わらず、織布というものは水分吸着効果が非常に高いので)
ユニクロ布マスク等の不織布フィルター入り製品もよく見かけるが、ノーズフィットの無い製品が多いので、メガネで抑えるか、ノーズフィットの後付加工をお勧めしたい。
◆ マスクは臨機応変に
感染リスクは状況によって異なるので、マスクの種類や着脱は臨機応変とすることをお勧めしたい。
冒頭研究資料中にある、
・10μm と1μmではウイルス数は1000倍異なる
との表現のとおり、通常飛沫とエアロゾルでは含有ウイルス量が全く異なるのだ。(直径10倍でも立方体で考えれば1000倍は当然)
マスクなしでの1m以内の会話やくしゃみ咳は、ウイルスたっぷりの大きな飛沫を直接相手に食らわすことになる。会話でも大声なら空間にエアロゾルを撒き散らすことになる。
閉鎖空間ではエアロゾルが滞留しやすいので、大声を出さないことはもちろん、曝露量を増やさないためには換気もしくは長居しないことが重要だ。
ということで、私のマスク着用例を紹介してみる。
・閉鎖空間での対面会議や病院では不織布マスク着用
・普段の会話や買物やひとり飲みなどは布マスクもしくは不織布入り布マスク着用
・ひとり屋外では一切着けません(会話のあるときは布マスク着用)
※屋外でも人が多いときやガヤガヤしている場所では布マスク着用
(追記)
と、私の環境はそもそも緩い状態が多いのだが、密密の環境で仕事している人や、若人ガヤガヤの満員電車に乗らなければならない方も居ると思う。そんな人たちにオススメの商品を紹介している楽しい記事を見つけたので貼っておこう。
これは不織布マスクのスキマを埋めてくれる商品だ。エアロゾルを大量に吸引してしまう可能性がある場所では「不織布+スキマ塞ぎ」をオススメしたい。
◆ 情報を精査しよう
冒頭の研究資料の結論末尾には下記の表記もある。
人は信じたい情報を信じる,都合の悪いデータは見ない.反対する
・都合の悪いデータもよく観察する.疑問を持つ,やみくもに信じない
→数値解析・実験・数理モデル:信じるのではなく,活用する
なお、私はどの専門家の言うことも信じていない(ごめんなさい)。もちろん参考にするし指標にもするけれど、いくら正論であっても査読論文であっても、ひとつの意見を信じ切ってしまうのは宜しくないと思っているので。
まして、とある専門家の出す根拠を元に他の誰かを批判したり陥れるなんて行為は本当に悪趣味だと思っているし、そもそもこのかつてない妙な感染症に対峙する姿勢としては間違っているのではないだろうか。
※妙な感染症と書いたのは、曝露量が少なければただの風邪、許容量以上食らうと一気に重症化する厄介な感染症なので
情報が偏り始めたなと感じたら、とりあえずgoogleやmicrosoftほかニュースアプリの傾向や興味などの設定を一度リセットし、SNSのグループやリストなども解除することをお勧めする。
ま、一般人としては面倒なことを考えるのはやめて、「他所様に迷惑をかけない」、これ一本でこの妙な感染症禍を乗り越えて行きたいところ。
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