君の作るウーロンハイがいちばん美味しい

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お酒を飲むと必ず会いたくなる人がいる。ただただ寂しいとか、そうゆうことじゃなくて。ずっと抑えてる会いたい気持ちを、我慢できなくなる。溢れ出しちゃう。そんなイメージに近い感じで。

いま何してるんだろう、誰といるんだろう。いつまでも見つからない答えをぐるぐる探しては、携帯をひらく。本当は今すぐ連絡したい。声が、聞きたい。だけど 返ってくるかわからない返事を待つのは、いつだってつらい。うざったいとも思われたくないし。そうして今日も身動きが取れない。

彼はあんまりSNSを更新しない人だから、誰かのストーリーに映ってるところ、見つけるたびに、全身が熱くなる。わたしも会いたいのにって、画面に叫んでも、だれにも届かない。切なさが増しただけ。苦手なビールも、彼が好きだと知ったら美味しいと思えた。それくらい単純で、ひたむきに好きだよ。もっと近づきたい、触れたい。それよりも。ただ隣にいたいんです。笑い合えたらそれだけで満足しちゃうくらい。でも、それがいちばん難しいって知ってるよ。

物理的な距離を縮めることは、想像よりすごく簡単で、気づけばもうゼロ距離で。撃ち込まれた銃弾、離れるのは一瞬で。一連の流れ、分かっていても、好きな人を目の前にして、左脳を使えるわたしじゃない。学ばないとか思わないけど、それでもいいなんて、割り切れたこともないよ。でも彼を好きなわたしの気持ち、彼が利用するなら許せる。むしろ、それでいい。そうじゃなきゃ、困る。都合が良いとか上等じゃん。いまは思い切りこちらに傾いている天秤。いつか必ず、逆にしてみせるから。

そう、何度、誓っても。ひと目、その姿を見てしまったら、声を聞いてしまったら。それだけでわたしの心は、瞬間で色づいて。覚悟も、理性も、何もかも飛んでいく。彼の笑顔ひとつで、わたしの幸と不幸は、決まってしまうって。それぐらい心も身体も占領してるって、分かってるはずなのに。本当、無責任だよね。また、知らん顔で、愛するフリすらしてくれない 愛みたいなモノ、寄越してきて。でも、今日もそれに飛びついてしまうわたしが、いちばん。いちばん、何なんだろう。この判断が、正解なのか、間違いなのか。それさえ、もう、どうでもいいや。それでも、彼の作るウーロンハイは、どの居酒屋で飲むそれより美味しい。嘘ばっかりなわたしたちの間にある、ただひとつの ほんとう。
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