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震災から10年、猫の気持ちを知る

2/13にやってきた地震

東日本大震災から今年で10年。
あっという間だったような、遠い昔のような、何年経っても心の整理がつかない出来事です。
先日、10年が経つという節目の年の2/13にまた大きな地震がやってきました。最初の揺れは震災を思い出させる衝撃と、そこからどれだけ続くのか不安にさせる大きな横揺れ。
その日はいつも通りの時間に寝ることができずしばらく動悸がおさまりませんでした。
地震は、リアルタイムのニュースでは全体の被害がわからないというところが怖いです。次の日のニュースを見てやっと安心できる、といういつまでも不安が拭えない天災だと思います。

猫の心に残っている傷

宮城県仙台市在住の私にとっては、こんな大人でさえも未だに過去の映像を見たり大きな地震が来ると心が乱れます。
住まいは沿岸ではなかったため、幸い身近な人間が亡くなったということがなく被災者とは言えない立場ですが、それでも地震が来ると焦りと不安な気持ちが一気に襲ってきます。
それは動物にとっても同じでした。
2/13の地震で、うちの猫は恐怖でオシッコを漏らしながら逃げ、そのあとも震えが止まらず私の膝の上に座っていました。
10年前の震災の時はまだ一歳。丸2日間飲まず食わずでベッドの下で過ごし、停電があけてから数時間後にゆっくり出てきたのを覚えています。
私が住んでいた地域は2日で停電が解消されたので、早めに普段通りの生活に近づきましたが、それまでの真っ暗闇の世界は異様な光景でした。街は月明かりと携帯の光だけ。遠くで携帯の光が見えるとそこに人がいることを認識できました。
携帯を握りしめて公衆電話に並んだことを今でも鮮明に覚えています。
明らかに普段と違う世の中で、部屋の電気もつかず余震が続く時間は猫にとっても怖い経験だったんだと思います。
猫はその時のことを覚えているんですね。2/13の地震では瞳孔も開き、口は半開きでヨダレが垂れる。こんな姿を見るのは初めてのことでありとても辛い光景でした。
震災は人間にとっても動物にとっても、いつまでも解消されることのない大きな傷です。天災はいつ起こるのか予測できないだけに、地球で生きる動物みな共通して同じ危機感を持つのだと実感しました。

震災を機に考えた動物との共生

震災で飼い主を亡くした動物たちはその後どうなっているんでしょうか。最初の頃は大きく報道されていましたが、だんだんと報道の規模も内容も変わり今年で震災から10年を迎えます。
動物愛護団体やボランティアの手で保護された動物も10年という月日が経ち、命を全うした動物も多いと思います。東日本大震災を経験し2/13の地震を再び経験した動物は、うちの猫と同じように震えていた子もたくさんいたのではないでしょうか。

震災という大きな出来事があってから、今まで以上に動物と生きていくことを深く考えるようになりました。

うちの猫は捨てられていたところを拾われ、飼手がいなかったところに知人から連絡があり譲り受けました。

このまま里親が見つからなければ保健所に相談するという段階での連絡だったので、それならばうちで引き取ろうと決断しました。私は今まで動物と暮らしたことがなくとても不安な気持ちでいっぱいでしたが、主人が以前猫を飼っていたこともあり「これも縁だね」と連れて帰った日が懐かしいです。あの頃からうちの猫は気が強くおてんば娘でした。何度思い出してもニヤけてしまうくらい性格が変わってません。ああかわいい。

その頃は動物を家族に迎えるということは真剣に考えていたわけではなく、なんとなく漠然と不安であり責任感が重いなあ、という感覚。なので自分が何歳まで生きるのか、猫の寿命を見届けるとき自分が何歳なのかなどは考えていませんでした。

しかし動物と暮らすようになり、そして震災という大きな出来事があってから、共生していくことの責任と命を守る覚悟を強く感じるようになりました。
震災のようにやむを得ず離れ離れになることは避けられないとしても、飼い主の命はいつか尽きるということを考えなくてはなりません。
私はいま38歳で猫が11歳。猫の寿命まで私自身しっかり生きなくてはと日々思いますが、この子が亡くなった後に次の子を迎えることができるのか。自分が50歳になる頃に新しい命を迎えるのは無責任なのか、と自問自答します。
日々様々な理由で殺処分されている動物がいる日本で、1匹でも多くの命を救いたいという気持ちが強くなるのと同時に、飼い主の寿命と責任を考えます。

1匹でも多く命を救いたいなら、今すぐにでも新たな命を迎えては?と言われるかもしれませんが、簡単に家族を増やす勇気と責任は今の私には足りないのです。
何度か里親探しの連絡が知人から来たこともありますが、里親がすぐに見つかりうちで受け入れることは今までありませんでした。
もしかしたらいつか縁があってうちに迎える家族が増えるかもしれないけど、今すぐに新たな命を迎える予定はありません。先住猫の精神状態がどうなるのか、2匹以上の猫を飼えるほどの家の広さはあるのか、など考えることは多いです。簡単に命は預かれない。とても難しい問題です。それくらい命は重い。

動物が安心できる環境をつくる

大きな地震がきて震える猫を抱き、日々の環境がどれだけ大切なのか、またストレスが動物にどれだけ多大な影響を与えるのかを実感しました。

2/13の地震のあと、うちの猫は翌日トイレにも行かず布団に籠もっていました。トイレに行ったのは地震から2日経った朝。いつもは1日1回のウンチを夕方までに3回しました。仕事中の主人に報告したら飛び上がるほど喜んでいました。猫の行動も表情も普段どおりに戻り、やっとこちらも安心することができました。

怖いことがあったり不安なとき、愛情いっぱい抱きしめる飼い主でありたいと心から思いました。当たり前のことですが、それができている人間はどれほどいるんだろう。動物に支えられて生きているからこそ愛情をめいいっぱい注いで一緒に過ごしたいですね。


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