目的地への飛行

どんよりとした灰色の空の端っこに、一点だけ青空が顔を覗かせた。よく見なければ見逃してしまうような青。それは、苦しいときに射す一筋の希望のようだ。
ほら、あっという間に晴れ間が広がって、私たちの世界は明るくなる。

ここ最近、家と会社の往復ばかりで、夜が長くなったはずなのに、帰宅する頃にはもう真っ暗で。夏の太陽の日差しを感じることなく、高いビルの一角でエアコンに冷やされながら、仕事に奔走している。

生きるために仕事をしているはずが、いつのまに生活のすべてが仕事になっていく。私は仕事が好きだ、でも本当に望んだ日々は時間に追いかけまわされる毎日だったかな?
仕事の対価として手に入れたお金で、欲しいものが買えて時々旅行にもいけて、時々睡眠時間が短くて身体的に辛いけれど、そんなに不満はない。

だけど、時折羨ましくなる。
仕事を辞めて世界を旅している先輩が。今の環境を捨てて、オーストラリアにワーホリに行くと決断した友人が。仕事はそこそこに、仲間と毎晩飲み明かすあの子が。

私は仕事をするために生まれてきたの?
自分のやっていることは、本当に誰かのためになっているんだろうか。上司や会社ではなく、世の中の助けたい人の役に立ててる?
この狭いオフィスビルの中で一生を終えたいの?もっともっと広い世界で生きていくと誓って、だから努力してきたんじゃなかったっけ。

自信が持てない。今の生活を続けた先に、自分の納得のいく未来が待っているのか。私の選択を後悔せずにいられるか。

怖い。だけど、自分の進む道は自分で決めなくちゃ。道がないなら、切り開いていくしかない。

自分の力で生きたいと望んだのは私自身だから。もっと楽な道だってあったはずだ、でもそういう選択はできなかった。もっと遠くへ、自由に羽ばたきたいと願ってしまったから。

そう、私は同じ場所には留まっていられないたちなの。高く飛ぶためには、力を蓄えなければならない。広く大きな空を自由に飛び回りたいから、そのための努力は惜しまない。

目的地を定め過ぎると、他の可能性が見えなくなってしまう。柔軟に、視野を広く持って。

大丈夫。私は行きたいところにいける、いつだって。

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