6月14日 ベルリンフィル・マーラー6番(G.Dudamel)
演劇の観劇記録はnote.に載せていないものも、練習と記録のために日本語とドイツ語で書き残している。が、どうもコンサートについては書きづらいと感じてしまう。思うことや考えることはたくさんあるのに…
昨夜出向いたベルリンフィルは本拠地Philharmonieでの今シーズンを締めくくるマーラー。
マーラーの交響曲は今まで色々な音源(↑このベルリンフィル・全集も)やDVD、ホールでも鑑賞した。室内楽作品も含め、やはり不思議と惹かれるものがある。
マーラーが嫌いな人も多いみたいだけど、私は好き、だと思う。
典型的かもしれないが、12歳くらいに5番の「adagietto」を映画の中で聞いて、この曲はナンダ?となったところから始まった。そこから興味が広がっていき、5番〜他の番号を聴き、その頃ピアノばかり弾いていた私は(しかもよくありがちな初期ロマン派まで)、驚きと発見の連続で、さらに自己リサーチを深めずにはいられなかった。
忘れられないコンサートの一つ。初めて9番を、肌で聴いた夜。
大切な人からいただいたチケットで、初のサントリーホール、客席の中央前ブロック、その人と共に鑑賞した。
指揮棒が下ろされてから沈黙の後、拍手の構えをしたとき、自分の顔が涙と汗?よく分からないけど、べちょべちょに濡れていたことに気づいた。これほど没頭して鑑賞したのは初めてで、今に至ってもない。
この特別な体験のあとの数日間は暫く地に足のつかない、ふわふわした感じだったことを覚えている。
その頃は自分の生活の中でも大きなことが立て続けに起きたこともあって、思いに、考えに耽ていた。そしてまたマーラーについて自分なりに調べたりしていた。
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そして昨夜は、ベルリンに越してきて初めて聴く彼の交響曲。室内楽ではすでにピアノカルテットをKammersaalで聴いていた。
そのコンサートも素晴らしかったな…
圧倒的な音、エネルギーの大爆発、皮肉的なユーモア、奥から聞こえるカウベル、戦闘態勢と平和な歌の対比。
私が特に好きなのは子供が怖がりそうな高音からコントラバスに移る怪談風モチーフ…
生で体験するオーケストラは何百回と音源を聴いても、絶対に味わえない衝撃がある。
カーテンコールで出てきたマエストロドゥダメルは、オーケストラの列の中に混じって挨拶をした。
もらった花束を女性のヴィオラ奏者に渡した時は、
「この葉っぱのところにちょこっと塩と胡椒、そしてオリーブオイルをたっぷりかけて食べてね」と、お茶目なことを言っていたらしい。(確かに花よりも葉っぱが多そうな花束だった)
2019年サントリーホールへ招待してくれた大切な人、ドゥダメル、マーラー、この繋がりは今の自分へ導いてくれたような、本当に不思議な縁があるように感じる。
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今週たまたま読んでいたのは、夏目漱石の作品「夢十夜」と「それから」。
同時代を生きた作曲家と文豪だった。
こんな偶然あるんだ、と思うが、実は気づいていない、意識していないだけで、実際にはそんな偶然はもっとあるに違いない。
シンクロニシティ、意味のある偶然の一致(ユング)、虫の知らせ…
最近そういうものを実感する瞬間がよく訪れる。
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