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夫の寝相が芸術的という話

幼い頃、私には座って寝る癖があった。自分では覚えていないが、母いわく気づくと座って寝ていたらしい。兄と私だけが先に寝かされていた頃、夜中に目覚めた私は足が痺れて動けず、兄に抱えてトイレに連れて行ってもらったそうだ。

そんな私も、大人になるにつれて寝ている間に動くことが少なくなった。動いたとしても寝返り程度だ。多くの人が、歳を重ねるにつれて動かなくなると思っていたが、それはどうやら私の思い込みだったらしい。なぜなら、夫は常に芸術的な寝相を披露してくる。

結婚前はそうでもなかったはずなのに、結婚後の彼は常に予想の斜め上の寝相を披露してくれる。

ある朝起きたら、私の頭の横には彼の足が鎮座していた。

また別の朝は、敷布団を斜めに占領し、7割は彼が陣をとっていて私は残りの3割で寝ていた。

また別の朝は、掛け布団が全て敷布団の横に置かれて、離小島みたいにされており、彼はなぜかそちらで寝ていた。決して本島(敷布団)を私が占領していたわけではない。

またある時は、夜中に寝ぼけまま枕を探した彼は、私のお腹の上に頭をのせ、寝心地の良さを確かめるように頭を何度か動かしてベストポジションを探していた。結局すぐ退いたので、どうやら私のお腹は寝心地が悪かったらしい。

今や寝ている最中はほとんど動かなくなった私からすると、彼のこの寝相は芸術に値している。最近では寝相アルバムを携帯に作って、ひたすら彼の寝相を溜めて行っている。上で説明した以外にも、まだまだ寝相のレパートリーがあり、少しずつ撮り溜めていくのが私の密かな楽しみになっている。

いつかこの写真たちを見返して、彼と一緒にクスッと笑えるように。


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