あの子に会いに行く
もともと、旅行が好きだった。地元で就職した頃は通っていた大学からもそんなに遠い場所ではなく、愛知県に残っていた大学の友人と頻繁に旅行に行った。彼女が地元に帰ってしまってからも、大型連休は必ずと言っていいほど一緒に旅行をした。スマートフォンの中は、彼女との思い出に溢れている。
住む場所が離れても2~3ヶ月に一度くらいの頻度で会い、いつも旅行をしていたのに、世界でコロナが流行り、外出禁止になり、旅行へも行けなくなった。
気づけば、彼女と頻繁に会えなくなって4年近くが経つ。一度だけ、彼女の結婚式へ参列した時に少しだけ顔を見て話したが、それ以外は画面越しばかりだった。
会えなくなる少し前に私の結婚が決まり、広島に引っ越すことを頑なに嫌がる私を、彼女は少し困ったように見ていたような記憶がある。
あの頃、彼女はまだ独身で、結婚予定の人もいなかった。
それがたった数年、短い間に大きく変わった。短いと感じているのは、変化のない大人だけで、本当は1年は果てしなく長い時間なのかもしれない。
彼女には彼氏ができ、婚約をして、結婚式をあげ、子どもが生まれ、家が建ち、二人目の子どもも生まれた。
人生とは数年で大きく変化するものなのだと、彼女を見ていると改めて感じる。私は結婚して、引っ越しただけだが、彼女の日々は目まぐるしく変わって行った。
色んなことが落ち着いて、少し余裕ができたこの夏、あの子に会いに行く。
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