#13 流浪の月
私の記事を書くと取材してくれた人が
私の言葉を聞いていると彼女を思い出す、と
教えてくれた作家が「凪良ゆう」だった
確かに私はすぐに彼女の言葉に惚れたから
彼の読みは正しかったんだと思う
「言葉選びが貴女に似ている」と言ったのは
流石に度がすぎるリップサービスだと思うけど
ここにあったのは愛だった
愛って恋愛だけじゃないんだよって
耳に馴染みすぎてわからなくなってたけど
多分、その愛情で生きていける人もいるから
私は文だったのかもしれない
ずっと更紗に会いたかった
あの人は、更紗だったのかもしれない
いや、更紗なのかもしれない
出会って、見失って、再会して
交わるはずのない道が何かの間違いで交差して
間違いだったはずが正解になっていく
それ以外、考えられないというように
どんなに頑張っても、言葉を尽くしても、
理解されなくて、だから諦めて笑ってごまして
でも私も「更紗」が居るからそれでいいかな
あの日の私が少し救われた気がした
どうしようもない傷跡に堪えきれない日の
唯一の救いは、
この世界には
案外そんな人がたくさん居るということで
「今日はどうにか」を積み上げて
細い糸を頼りに生きてるのはきっと私だけじゃない
貴方だけじゃない
だからその糸が切れるのを恐れていても
しょうがないのかもしれない
更紗はそうやって教えてくれた
そんな更紗の言葉を受け取れるのは
今の私が「大丈夫」だからなんだろうけど
善は善、悪は悪って白黒つけてくれたら
とっても生きやすいのに、
なぜかこの世界はグレーがたくさんあって
優しさ故に傷つくことも少なくない
私は、優しさだか悪意だか知らないけど
傷つけない人になりたい
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