碧衣ちゃんへ✉️



今回は「碧衣ちゃん」の【下】みたいなやつです↓



私と碧衣ちゃんが出逢った、中学三年生の春から一瞬で、卒業式がきた。私が碧衣ちゃんの顔を最後に見た日。


たくさんのお友達と写真を撮った。皆、撮ろう撮ろうと声掛けてくれて、なんだか一度もお話したことない人とも撮った。


私は碧衣ちゃんと撮りたかった。
色々な人と、写真を撮って思い出話をして、を繰り返しながら、碧衣ちゃんのことを探した。


突然、


「あの、帝ちゃんですか?」


振り向くと知らない女性がいたけど、ピンとこない。
が、そのすぐ後ろに碧衣ちゃんがいた。
碧衣ちゃんのお母さんだった。


「碧衣と仲良くしてくれて、ありがとう」


いやいやいやいや!と私は終始なさけないキョドりっぷりだったのに、初めて見る碧衣ちゃんのお母さんは、すごくしっかりしてそうな優しい人で、こんな日がくると思ってなかった私はとにかくびっくりした。


仲良くしてくれて、なんて。
私が仲良くしてもらった。碧衣ちゃんが仲良くしてくれたんだよ。
碧衣ちゃんは、あんな、靴箱で大型トラックに突っ込まれた挙句キモいラブレター渡されて。
しかも、毎回つたない文章で、自閉症っていうものに対して万全にできるわけでもない、冷静に考えたらこんなん変な奴なのに。


あのね、最初担任の先生に「自閉症やねん」って聞いた時
いくら私が碧衣ちゃんとお友達になりたいからって、
何がどういうふうに碧衣ちゃんを傷付けたり、傷付けるまでいかなくても、なにかしら「嫌」って感じさせてしまうか、完璧にできないなら駄目だ、と思ったよ。
マジで勝手に私が碧衣ちゃんとお友達になりたかっただけ、私の欲望なので、もし碧衣ちゃんが小説を読んで平和に過ごしてたかったら迷惑だし。


でも、碧衣ちゃんがお返事くれたから。
お友達に、なってくれたから。
なんか、虫苦手な人に虫の話題はしちゃだめだ、くらいと同じ。
逆に私が色々怖がってどうするって。


確か部活引退する前に、部活の一年生の後輩に碧衣ちゃんの妹ちゃんがいて(気付かなかった)、「お姉ちゃんがおうちでよく(私のこと)話してます」って明るく笑顔で言ってくれたことがあって、それも一つの材料だった。


碧衣ちゃんのお母さんは、「ほら」と碧衣ちゃんに何か言って、ツーショットを撮ることになれて、手元のカメラで私たちを撮ってくれた。(私のカメラでも撮ったよ!)


その時、碧衣ちゃんが


「ありがとう」


と、目を見て言ってくれた。
ごめんなさい、この時の嬉しさは、この世の言葉では力不足で表せない。本当に、胸がいっぱいになった。








碧衣ちゃんへ


覚えてる?
私は定期的に碧衣ちゃんのこと思い出す。最近特に思い出す。
卒業前にメアド交換して、高校生活最初少しメールしてたけど、いつの間にか途切れて(喧嘩とか悪い理由ではない!)、今滅茶苦茶後悔してる。


数年前に中学の同級生に聞いてみたけど、碧衣ちゃんと連絡つく人なんていなくて、ずっとSNSで名前とか検索してみたり、この間当時のガラケー充電してメアド見つけて送ってみたけど変わってて…。もし碧衣ちゃんが私のこと覚えてくれてて、同じ気持ちだったら、私が有名人になるのが一番手っ取り早い(まったくもって手っ取り早くはない)かなとか。最後のは冗談やけど。


私は碧衣ちゃんが今どうしてるか、何してるのかなって、碧衣ちゃんが嫌じゃなければ、私は碧衣ちゃんとまたお話したい!烏滸がましいけど、私は碧衣ちゃんのことお友達と思ってる。


もし、なにかしらの理由で私を見つけて(かもしれない、でも大丈夫)、碧衣ちゃんの中で嫌じゃなければ、どうか声掛けてほしい。道端だったら、私が碧衣ちゃんにしたみたいに肩叩いてくれて大丈夫だし、それがSNSだったら、め〜っちゃ気軽にDMしてほしい。とにかく、なんだっていい。碧衣ちゃんとまたお話できるなら。


つたない文章だけど、読んでくれてありがとう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?